エダマメ栽培の詳細版…種まき育苗などを含めた長文記事

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エダマメ詳細版
エダマメ詳細版
科名マメ科
水やり水を好む
場所外の日なた
難易度中級者向け
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開花
植え
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エダマメとは?

エダマメマメ科の一年草の野菜。未熟なうちに収穫したものがエダマエで、放置していると大豆になる。4月から6月に種まきして早生は7月から8月に収穫し、晩生種・中生種は9月から11月あたりに収穫する。早生<中生<晩生と言う順で収穫量が増えるが、逆の順番で収穫までの期間が短くなるので、初心者は早生から始める。

収穫に関しては環境次第。枝豆をゆでるまでの時間次第で判断する。残しておく部分が増えればそれだけ日持ちする。目安として、収穫後にサヤの状態で一日放置すると、豆の糖分が半減する。

最初に簡単なまとめ

●枝豆はマメ科の野菜。家庭菜園ではコスパが良い方。
●花は小さい。咲いても気づかないくらい。本に載っている花画像は相当苦労して撮影しているに違いない。
●開花前に自家受粉するので高層階のベランダ栽培でも収穫は可能。
●種まきから開花前までは乾燥気味に、開花後は水やりをしっかりと。水が不足すると花が落ちたり、実が太らずペラペラになる。
●晩生品種以外は豆のサイズが八ミリ前後が目安。これが一番味と香りのバランスがいい。
●待っていると大豆になる。
●そもそも実がパンパンになっていたらそれはもう大豆にしたほうがいい。

エダマメの種類

エダマメには収穫までの期間で早生・中生・晩生と呼ばれる種類がある。

早生(わせ)

早生(わせ)は夏大豆型とも呼ばれる。間引かず3本立ちか4本立ちにする。種まきからから2ヶ月で開花、収穫まで3ヶ月。5月種まきして8月に収穫。昼の時間ではなく温度で反応して開花・結実する。開花時期が真夏になると高温障害で受粉不良を起こしてしまう。なので暖地だと5月種まきならいいが6月種まきだと受粉不良でサヤが出来ない。中間地は微妙。寒冷地は大丈夫。

早生は4月下旬に種まきがいいが、関東では5月第一週に霜が降りることが稀にあるので初心者は5月でもいい。ただ気候によっては開花が高温時期にあたって受粉不良などが起きる可能性が出てくる。中級者以上は4月上旬に種まきして必要ならば防寒する。

中生(なかて)・晩生(おくて)

中生(なかて)…夏大豆と秋大豆の中間なので中間型とも。間引いて二本立ちにする。種まきから収穫まで5ヶ月。6月種まきして11月に収穫。

晩生(おくて)…秋大豆型とも呼ばれる。間引いて一本立ちさせる。種まきから収穫まで6ヶ月。6月種まきして12月に収穫。短日で開花→結実する。
エダマメは本来、短日植物で中生・晩生は秋になって日が短くなることで開花する。中生・晩生を早めに植えると開花して葉茎の生育が止まる前に成長しすぎて倒れてしまうことがある。

水やり

畑の水やり

種まき→開花前までは基本的に乾燥気味に育てる。直播の場合は種まきの際に水をやったら、開花前までは自然に降る雨だけでほぼ大丈夫ってくらいに乾燥気味でも問題ない。しかし、開花後は水を欲しがる。水が切れたからといって萎れるってわけではなく、そのまに花が落ちる(落花)。また、水が足りないと花が結実してもサヤが太らない。開花後の水やりがエダマメ収穫のコツになる。

エダマメが田んぼの畔の粘土質の土に植えてあるのはそのため。普通の土の畑に植えると水をやってもやっても水切れしやすく収穫が少ないか全くない。

鉢植えの水やり

プランターなどは種まき→開花前は通常の栽培どおりに「土が乾いたら水をやる」ようにする。この時期に水やりが多いと徒長するので注意する。開花後は土の表面が乾いたら水をやるようにする。畑植え同様に、開花後に水やりが少ないと収穫が少ないか、ほぼゼロになる。

鉢植えの水やりの注意事項

●鉢植え・プランターの場合、夏は朝と夕の二回、しっかりと水をやる。しっかりというのは鉢底から水が出るくらいのこと。
●種まき時に水をやったら発芽までは水をやらないでもいい…ってくらいに乾燥気味でもいい。開花からサヤが太る時期は水不足になりやすく、水が不足すると落花したりサヤが太らずペラペラになる。
●開花以降は毎日水やり。畑でもプランターでも。
●早生種の開花&サヤ太りの時期が梅雨に当たると水やりがすごい楽。ただ梅雨の時期は前後するので運頼みです。

肥料

元肥

マメ科の植物は空気中の窒素を取り込む菌を飼っていて、肥料は少なくても育ちます。それでも根粒菌を取り入れるためにそこそこの栄養が必要で元肥(=植え付け前に土に足す肥料)がある程度は必要です。しかし、畑の場合は以前の作物で施肥した肥料が残っていることが多く、元肥をやると「過剰」になりがち。元肥をやるかどうかは各自で判断しましょう。

元肥の注意事項

●最初から液肥をやると窒素過多で徒長しやすい。
●初期…苗を植え付けた直後あたりはリンが必要なので元肥は必要。根を育てるカリを吸収するためには窒素が必要なので元肥にはリン・窒素・カリがある程度は必要。
●根粒菌を寄生させるためにもエネルギーが必要なため、元肥が土中にある程度ないと根粒菌が寄生しない。掘り出して根のコブが少ないなら根粒菌が寄生していないので、元肥・堆肥を見直す。コブがあってもコブを切ってみて内部が赤くなく白いならば肥料不足。
●プランター・鉢だと根粒菌がつきにくい。プランター・鉢の場合は元肥を(畑よりは)多めに。
●必要とする窒素の30%から50%を根粒菌から取り込む。
●芋豆用の化成肥料(窒素少なめの肥料)が便利。

開花後の肥料

花が咲いたとき(かその前に)に固形肥料をやって土寄せします。その後は二週間に一回、薄い液肥をあげるか、様子を見つつ固形肥料をやるといいです。

開花後の肥料の注意事項

●肥料が多いとサヤが太らないことがある。サヤが太らない理由はいくつかあるが、肥料過多の場合はそもそも葉っぱばかりが太ったり、茎が徒長している。
●40センチ以下で開花したら追肥する。小さいのに開花すると収穫量が悪くなる。これを防ぐため。
●芋豆用の化成肥料(窒素少なめの肥料)が便利。
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連作障害

他のマメ科の植物と連作障害を起こします。プランターや鉢で植える場合は必ず新しい土にやり替えて下さい。また庭や畑に植える場合は、過去二年に(枝豆を含めた)マメ科の植物を植えていない場所にします。

作業

植え付け時期(4月から6月)

霜に当たると枯れるので霜が降りなくなってから植え付けをする。暖地では4月上旬から6月上旬。中間地では4月中旬から6月上旬。寒冷地では5月中旬から6月下旬に植え付け・種まきをします。
豆まきは6月上旬まで可能。慣れた人は4月から二週間おきに豆まきをする。すると長期間採れたてのエダマメが食べられる。ただし1ヶ月ズラしても収穫時期は1週間くらいしか変わらない。

用土・土づくり

鉢植えの場合は一般的な花と野菜の培養土を使うが自作する場合は赤玉土6腐葉土4を混ぜたものに緩効性肥料を少量足したものを使う。

畑に植える場合は植える一週間前までに土に苦土石灰(1平方mあたり100g)を混ぜて中和(Ph6が理想)させておきます。中和には1週間かかるので待ってから、腐葉土か堆肥を元の土に対して2割ほど混ぜ、緩効性肥料(1平方mあたり100g)を足してよく混ぜて用土にします。エダマメは水を欲しがるもので、水はけの良い土だとすぐに水切れを起こします。田んぼの畔などのような粘土質の土を好みます。堆肥を混ぜるのは水もち(=保水)をよくするため。

土づくりの注意事項

●元肥の例…1平方あたり鶏糞50g土度石灰100g腐葉土100g油かす10g化学肥料30g草木灰5g。
●元肥がなくても生育はする。ただし貧弱になる。
●一般的な用土でも育つが、水やりが頻繁になる。水やりが不足すると葉焼けを起こしやすくなる。土寄せは乾燥を防ぐためにも行われる。
●ビニールマルチをするといい。一般家庭では株元にワラを敷いて蒸発予防をするといいです。
●安い培養土は使わない方がいいですよ。参考…100円ショップの安い土はダメか?(初心者向け)
●粘土質の土が好まれる。例えば雨が降ると水溜りができるようなところ。

畑への植え付け(4月から6月)

1条なら幅40cm・高さ10cmの畝を作る。2条であれば幅60cmから70cm・高さ10cmの畝を作り、種まきするか苗を植える。エダマメは移植が苦手なので苗の土は崩さないで根をいじらないで植える。

直播するのであれば、直径4cm・深さ2cmの穴を掘って豆を4つ入れる。
株間は早生なら30cm、中生なら40cm、晩生なら50cmから60cm。

鳥からタネを守る

種子は鳥が穿って食べるので不織布で覆ってカバーするか、半分に切ったペットボトルを種にかぶせてカバーする。

種まき・育苗(4月から6月)

9cmのビニールポットに土を入れて、豆を入れる。豆は三つ入れて、2cmほど土をかぶせて、土を手で軽く抑える「鎮圧」をする。鎮圧することで豆と土が密着して発芽しやすくなる。最後に水をやる。放置していると4日から7日ほどで発芽する。7日から10日で本葉が出る。

種子として蒔いたマメを食べに動物・昆虫がやってくる。発芽後に新芽をナメクジが食べる。なかなか大変。直播して発芽までペットボトルを被せておくと、動物・昆虫に食べられない。

本葉が出たら植え付けをする。

種まき・育苗の注意事項

●育苗の用土は一般的な培養土でもいいが、赤玉土単用がよい。赤玉土単用は無菌で無肥料で発芽率が良い。
●初期…苗を植え付けた直後あたりはリンが必要なので元肥は必要。根を育てるカリを吸収するためには窒素が必要なので、初期にはリン・窒素・カリがある程度は必要。
●マメは直播(じかまき)が良い(というか直播で十分)。セルトレイや苗発芽用の土は意外と発芽率が悪いという話も。
●種まき後に水をやると豆が腐ってしまいやすい。種まき後は水やりなしでも十分発がする。
●発芽までは不織布をかぶせておくといい。支柱でトンネルをつくって寒冷紗をかけるのもいい。これだと鳥・虫除けになる。
●数株以下なら苗がお得。
●4月から種まきするが生育が悪くて何度か蒔き直すことがある。
●古いマメは発芽率が悪い。今年購入のマメを使い切るべき。
●早生は直播なら一ヶ所に4粒。ポットなら3粒。発芽率は環境にもよるが高くない。50%くらいのこともある。温度が大事。温度が低いと発芽率がガクっと下がる。
●早生は一ヶ所に2株以上あったほうが根が絡み合って生育が早い。1ヶ所に3豆入れて間引きしないでもいい。
●直播したところに支柱を挿して、穴を空けたペットボトルをかぶせておく(虫除け・鳥避け)。
●晩生は大きくなるので一ヶ所に1粒か、2粒入れて、本葉が出るときに間引いて一本立ちにする。
●豆は嫌光性で明るいと発芽しにくい。不織布や新聞紙をかけていると発芽に気づかず、もやしになるかも。ちゃんとチェックして発芽したら日光に当てる。

鉢・プランターへの植え付け(4月から6月)

10号鉢(直径30cm)の鉢に1苗、65cmのプランターなら2苗を植えます。人によっては65cmプランターに5株植えて大量収穫することも。

鉢底の穴を鉢底ネットで塞ぎ、鉢底石を2cm入れ、苗を植え付け、最後にしっかりと水をやって完成です。スリット鉢なら鉢底ネット・鉢底石は不要で便利ですが、土が流れ出て、床を汚します。
スリット鉢 10号の商品画像
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土寄せ(本葉が出たら)

土寄せ(本葉が出たら)
子葉が出た後、次に初生葉が出て、次に本葉が出ます。本葉が出たら、子葉(最初の葉っぱ)が隠れるくらいに土を寄せます。一回目は「軽く」です。この土寄せは側根を出させるためです。

土寄せ(本葉が3枚で)

土寄せ(本葉が3枚で)
本葉が三つ出たら、もう一回土寄せします(二回目)。この土寄せは、根の浅い枝豆の乾燥防止と、倒壊を防ぎます。土寄せしないとちょっとした風で根ごとひっくり返ります。

摘芯(本葉4枚で)

摘芯(本葉4枚で)
中生種と晩生種は本葉が4枚か5枚出たら摘芯します。摘芯は成長点…つる先を切ってしまうことです。摘芯すると脇芽が増えて花が増え、実が沢山収穫できるようになり、草丈を小さく抑えて倒伏するのを防ぎ、防虫ネットに入るよう小さく仕立てるためです。摘芯しないと収穫できないわけではないです。ツルボケ回避の効果も狙っています。
●摘芯はこの一回だけ。あとは放置。
早生種は一般的には摘芯しない。早生種は草丈が低く、枝が出にくく、摘芯時期から開花までの期間が短くて、摘芯してもあんまり効果がない。早生種の栽培が多いので「摘芯に効果がない!」って言う人も多いが、中生・晩生では効果はある。

土寄せ(開花前までに)

晩生・中生は土寄せとともに追肥をします。早生は土寄せだけで肥料は不要です。肥料が切れると葉っぱが黄色くなるので、黄色くなるようなら追肥しましょう。畝に緩効性化成肥料を4株あたり100gを目安にパラパラと撒いて土を軽く混ぜつつ、土寄せします。
●様子を見つつ、問題がないなら肥料はやらずに土寄せする。
●肥料が多いとサヤがつかない。

開花

開花時期〜サヤが太る時期に乾燥すると花が落ちたり、サヤがつきにくくなったり、サヤが大きくなりづらい。小粒になってしまうのはコレ。葉枝が伸びているうちは乾燥しないように水やりをしっかりとする。

開花時期に真夏だと受粉不良が起きるので早生(収穫7月8月)は早めに植えるのが吉。高温障害で受粉不良がおきると花が咲いてもサヤができない。
カメムシなど実を食べる虫を駆除するために開花直後にスミチオン1回。開花から2週間でトレボン乳剤1回するといいです。

開花に関する注意事項

●開花後に寒冷紗をかけて虫除けにするか、薬剤を散布する。スミチオンなど薬剤を散布すれば寒冷紗は不要。
●発芽から開花直前までは水の遣り過ぎは徒長するが、開花後は乾かないように水をやる。水が足りないと花が落ち、サヤが太らない。
●花・サヤ太りの時期に乾燥するなら吸水タイマーを使うといいかも。
●中生・晩生は日が短くなって花が咲くので早く植えても遅く植えても開花時期は変わらない。

収穫まで

サヤが膨らんだら収穫する。熟したサヤを個々に収穫するか、全体を引っこ抜いて、すぐに茹でて食べる。収穫後はすぐに味が落ちるのでその日のうちに茹でて食べる。収穫に適した時期は3日から5日と短めで収穫のタイミングはなかなか難しい。収穫が遅れると実が硬くなる。タイミングは何回か育てると色合いでわかるが、よくわからないなら、サヤを摘んで食べてみて確認して収穫する。

収穫の注意事項

●開花してからサヤが成長するのに早生でも1ヶ月くらいかかる。なかなか成長せずにヤキモキするかもしれないが、水やりして気長に待つ。
●収穫がちょっと早いだけで甘みが少なくなる。かといって待っていると大豆になることもある。毎日観察しましょう。
●気候がよいとエダマメで収穫するつもりが、大豆になってしまう。ズラして栽培していても全部がまとめて大豆化していることも。
●エダマメには有限伸長型と無限伸長型がある。有限伸長型は花が咲くと茎の生育が止まる。無限伸長型はなかなか停止せず、開花・葉と茎の成長が同時進行する。茎の成長が止まるまでは水切れしないように水をこまめにやりましょう。
●来年の種子を取るなら、豆がカラカラになってから収穫して風通しのよいところで管理する。
●早生…種まきから収穫まで3ヶ月。5月種まきして8月に収穫。
●中生…種まきから収穫まで5ヶ月。6月種まきして11月に収穫。
●晩生…種まきから収穫まで6ヶ月。6月種まきして12月に収穫。

管理場所・日当たり

日当たりで管理します。半日陰くらいならば、収穫も可能。でも日当たりに比べると生育が非常に鈍い。葉焼けは普通はしないが、水が不足していると葉焼けしてしまう。適した生育温度は20℃から25℃。
●エダマメの生育は日照よりも温度。他の野菜よりも日照時間は少なくても収穫は可能。でも収穫は日照が影響するので、やっぱり出来るだけ日当たりが好ましいです。

病害虫

カメムシ・ハダニ・ネキリムシ・バッタ・マメシンクイガ・イズサヤタマバエなどが発生する。害虫はよく発生するが病気はあまり見られない。
詳細はエダマメの病害虫のまとめを参考に。
●エダマメは窒素を土壌に取り込む点と、ニンジンに寄生するネクサレセンチュウ・ネコブセンチュウを減らす作用があるので、ニンジンとの輪作に適したコンパニオンプランツに挙げられます。
トウモロコシがエダマメのカメムシを忌避する作用があるらしい。またトウモロコシは肥料喰いで余分な肥料を吸い上げるので一緒に植えたり、次に植えて畑をリセットするとエダマメの収穫があがる。
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