バラの病害虫とその薬剤の一覧・まとめ

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バラの病害虫とその薬剤の一覧・まとめ

バラの病害虫をまとめています。すべてのバラ…ハイブリッドティーフロリバンダイングリッシュローズ・オールドローズなどなど…に共通の項目です。基本的にバラの病気というと「黒星病」「ウドンコ病」が主な問題になります。害虫ではテッポウムシ(カミキリムシ)がよく被害に遭います。

よく「無農薬で!」という人がいるんですが、無農薬だと無事にバラが咲くのも難しく、咲いてもボロボロ(花びらに斑点がある)になるので、無農薬ではなくて低農薬(減農薬)から始めるべき。

まとめ

●★黒星病が一番やっかいな病気。ダコニールなどを散布して予防する。
●ウドンコ病にもダコニールが効く。
●冬剪定のときに石灰硫黄合剤を散布することで黒星病・ウドンコ病・ハダニ・カイガムシなどに効果がある。
癌腫病も厄介だが、ある程度はしょうがない。
●株元にオガクズが落ちていたらテッポウムシが発生している。
●春から秋はダコニール(夏はオーソサイドやジマンダイセンを)散布する。
●害虫が発生するのであれば春から秋にスミチオンを散布する。

薬剤散布に関する雑記

●気温が18度を超えると病害虫が発生しやすくなる。時期としては3月以降から11月あたり。
●新芽に濃い薬剤・濃い展着剤のものを散布すると薬害が出ることがある。特に3月に出る柔らかい新芽には薬害が出やすいので控える。
●薬剤を散布して一週間ほど経つと新芽が成長して薬剤がかかっていない部分が伸びてくる。するとそこを病害虫に狙い撃ちにされる。新芽を好むアブラムシやヨトウムシやゾウムシなど。
●雨が降ると黒星病・ウドンコ病・灰色カビ病などは発生しやすいので、雨が降る前に薬剤を散布して予防すると良い。雨が多い時期は散布頻度が高くなる。
●病害虫の被害にあった部分を、むしってその場に落とすと、病気が別の部分に感染したり、葉っぱに住んでいた幼虫が落ちた葉っぱを食べて成長してまた登ってくるので必ずむしって廃棄する。
●気温が30度を超えると散布した薬剤がすぐに乾いて薬剤が濃縮されて、それが新芽に薬害が出ることがある。薬害が出ると縮んで黒くなる。薬剤を1.5倍に薄めて散布する。
●薬剤の散布は風のない午前中や日没後に行う。病気の発生部分と感染・被害に遭いやすい新芽や葉裏を重点的に散布する。
●散布するときは眼鏡・マスク・手袋・帽子をし長袖・長ズボンを履いて肌を露出しないようにする。散布後は皮膚を石鹸で洗います。
●株が10個いないなら1リットルから2リットルのスプレー(手動)で十分。30分以上になると電動じゃないとキツい。
●薄めた薬剤は効力がなくなっていくので、すべて使う。

散布液の作り方

以下の手順は薬剤1000倍・展着剤20000倍の散布液の作り方です。薬剤500倍の場合は薬剤を20gに変更して作ってください。薬剤によっては展着剤が必要のないものもあります(サプロールなど)。
散布剤の作り方手順
バケツに水を10リットル(10kg=10000g)計って入れる。
展着剤0.5cc(=0.5g)を入れる。
薬剤を10gを、別の容器に入れて水を少量入れてよく練る(練ってから入れないと水に溶けにくいため)。
練った薬剤をバケツに入れる。
乳剤10cc(=10g)を入れて混ぜて完成。

薔薇の病気

黒星病(黒点病)

黒星病(黒点病)
バラの栽培では一番の問題となる病気。真夏の30度以上になると黒星病は出にくくなるが、葉っぱが出ている3月から11月の間は基本的に発生するので、その間は薬剤を散布する。黒星病に効く薬剤はウドンコ病はその他の病害虫にも効果があるため、黒星病対策=バラの病害虫対策のメインという位置づけ。詳細な基礎知識・予防方法は以下のリンクを参考にする。
参考バラ栽培をするのであれば必読。
★★黒星病

ウドンコ病

ウドンコ病
ウドンコ病は葉っぱや新芽が白く粉を吹く病気で、徐々に悪化して株が弱ってしまいます。バラのウドンコ病は18度以上になり、昼夜の温度差が激しい時期(春と秋)に発生しやすい。また、雨が多くなってくると発生しやすい。30度を超えると逆に発生は鈍くなる。黒星病と同じで、原因菌がそこいらに常在しているため、完全に感染を防ぐことはできません。風通しをよくする(冬剪定でしっかりと剪定する)とよい。

ただし耐病性のある品種だとかなり発生しにくくなり、健康に育てることでかなり予防でき、また、薬剤を散布すればさらに予防でき、発症しても手遅れってわけでもなく治療も可能。

黒星病予防でダコニール・オーソサイドなどを週に一回か10日に一回の頻度で散布していればウドンコ病予防になっているので、それでも発生したら病変部分でもひどい部分を取り除き、治療効果のある薬剤(トリフミン・バイコーラル・ストロビーなど)を散布する。

ウドンコ病についての補足

●耐病性があっても環境変化や何かの理由で株が弱るとウドンコ病など病害虫にかかりやすくなる。どうにも病気が発生するのであれば、現在の葉っぱを減らし、根の負担を減らして回復をはかる。秋冬ならば全部とってもいい。春夏では様子を見て減らす。
●柔らかい新芽に濃い薬剤をかけると薬害が出る。新芽にはかけないようにする。
●雨の多い年に発生が多くなる。
●週に一回か10日に一回の頻度で薬剤を散布するが、それでも被害が広がる場合は二日おき程度に頻度を高めて散布する。
●肥料に窒素が多いとウドンコ病が発生しやすい。
●薬剤を散布すると葉っぱの表面のウドンコ病はなくなるが、葉っぱの気孔が侵入したものは残り、数日するとまた表面に症状が出てきます。内部まで蔓延った場合は一日おきで散布する必要がある。

ウドンコ病に効果のある薬剤

トリフミン…ウドンコ病に予防・治療効果がある。
バイコーラル…ウドンコ病に予防・治療効果がある。
トップジン…ウドンコ病と黒星病に予防効果がある。
ミラネシン…効果が高かったが製造停止。
カリグリーン…ウドンコ病に治療効果がある。
サンヨール乳剤…ウドンコ病・灰色かび病・黒星病・アブラムシ・ハダニ・チュウレンジハバチに防除効果がある。
アーリーセーフ…ハダニ・アブラムシ・コナジラミ・うどんこ病の防除に。

癌腫病

癌腫病は根にコブができ、徐々に弱っていく病気で、治療はほぼできない。根に傷がつくと感染してしまうので、根を傷つけないようにし、植え付け前に木酢液などを使って殺菌して予防する。

コブを取り除くと多少回復するんですが、完治はしておらずいずれはまた症状が出てきますし、他の株にも感染するので、基本的には廃棄する。

灰色カビ病

原因はボトリチス菌というカビで、湿度が非常に高い時期に花にカビが生える。八重咲きに発生しやすく、一重咲きなどの花弁の多い品種では発生しにくい。一個で発生すると別の花にも感染してしまうので、早めに花ガラ剪定をして取り除く。ダイセン・ベンレート・プラントバックスなどの薬剤が効果がある。
ダイセン 薬剤
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ベンレート
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プラントバックス
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ベト病

別名「霧菌病」。霧が多い地域や湿度が高い時期に発生する。発生する地域は寒冷地に限られている。葉の表に斑点が出て、葉裏に白い株がつく。葉っぱが緑のままで落葉し発生すると被害が大きい。黒星病・ウドンコ病にも効果があるダコニール・オーソサイドを散布して予防する。発生したら被害部分を切除して遺棄し、マンネブダイセン750倍を三日に一回、二回か三回散布する。
効果のある薬剤
マンネブダイセン…750倍を散布する。

ダコニール
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オーソサイド
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サビ病

橙色・黄色のイボというか斑点が出て、そこにサビのような粉が出る。ミニ系統に発生しやすい。春から秋、高温多湿だと発生しやすい。マンネブダイセンやプラントバックスを散布する。
プラントバックス
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バラの害虫

ハダニ

ハダニはクモの仲間で、目に見えないほどの小さな虫。葉裏などから汁を吸うため、葉っぱがカスリ状になります。高温乾燥を好み、梅雨が明け以降…乾燥する夏場に大発生して株に大ダメージを与え、落葉させて丸坊主にすることもある。発生すると白い糸がまとまりつく(クモの仲間なので)。ハダニ・アブラムシ・カイガラムシの排泄物にはスス病という黒いカビが発生する。スス病の予防のためにも予防し、ハダニが発生したらすぐに駆除する。

ハダニは乾燥を好むので、水をやるときに葉っぱに水をかけてやることで予防ができる。水をやるときは葉っぱの裏にもしっかりと水をかける(葉裏にいる)といいです。

薬剤の耐性がつきやすいので一種の薬剤ではなく以下の複数の薬剤をローテーションで使用する。

ハダニに効果のある薬剤

ニッソランV…1000倍に薄めて展着剤を足して使用する。
ダニトロンフロアブル…1000倍に薄めて展着剤を足して使用する。
オサダン…ハダニに効果がある。
ダニ太郎…ハダニ・ダニ類に効果がある殺虫剤。
コロマイト…ハダニに効果がある殺虫剤。

ダニトロンフロアブル
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ダニ太郎
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コロマイト
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カミキリムシ(テッポウムシ)

テッポウムシはカミキリムシの幼虫でバラの茎を食べて枯らす。虫の中では最も厄介。まずカミキリムシ(成虫)が飛んできて、バラの枝の樹皮を食べる。その成虫が6月から8月に産卵して、8月以降に孵化した幼虫が地際から幹に入って食害します。幹に入った時にオガクズ(木クズ)を出すので、テッポウムシの食害を受けた株の周辺にはオカクズがあったら、テッポウムシ(の幼虫)がいます。

成虫のカミキリムシが見られたら卵を生む前にカルホスを散布して成虫も駆除します。

テッポウムシがいるなら、薬剤を穴に注入します。すべての穴に薬剤(スミチオンなど)を入れて、株周辺のオガクズを整理します。しばらくして見て新たなオガクズが出ていたら、まだ食害があるので再度薬剤を注入します。

テッポウムシについての補足

●カミキリムシ対策として、株を深植えするというのがある。浅植えだと接木部分の根本を食われて株全体が枯れるが、深植えするとカミキリムシが卵を産んでも「シュート一本」にしか被害がない。ただし、シュートが台木から出てるのか、接木した品種のものなのか分からないかもしんない。
●6月ごろに成虫がやってくるので、産卵前に見つけ次第、補殺する。成虫も樹皮を食べるので成虫も幼虫も憎い。成虫は薬剤が効きにくい。

コガネムシ

コガネムシは成虫が花や葉っぱを食べ、幼虫が根を食べる。5月から10月に発生する。幼虫が根を食べることでバラが枯れることもあるし、根を食べた傷から癌腫病が発生するためコガネムシの予防は大事。バークチップを株元に敷いて卵を産むのを防いだり、毎年(腐葉土ではダメ)、オルトラン粒剤を撒いて予防すると良い。幼虫が発生したらスミチオン・ベニカを散布して駆除する。

成虫には薬剤は効かない。成虫のコガネムシを捕らえるトラップがあるのでこれを使うとよいです。

コガネムシの補足情報

●コガネムシ対策はオルトランを8月から10月の孵化した直後に一ヶ月に二、三回散布する。大事なのは時期。
●コガネムシは6月以降に成虫が飛んできて土に潜って卵を生む。成虫もツボミ・花・新芽を食べるので成虫も幼虫もにくい。
●産卵の予防として鉢植えを寒冷紗で覆ってしまうのもあり。これが面倒なので、鉢底に敷く網を鉢植えの形に切って、地表をカバーするように覆うと、産卵できない。100円均一の滑り止めマットでもいいです。見た目が悪いのが嫌なら、その上に何か載せるといいです。
●用土にパーライトを混ぜたり、表面にパーライトを撒くとコガネムシが寄ってこないらしい?(ほんとか?)。
●ダイアジノンを撒く。できれば土中に埋めてやると効果がある。
●コガネムシの忌避作用があるハーブ類は、キャットニップローズマリー、セイボリー、マリーゴールドチャイブニンニク

カイガラムシ

カイガラムシはバラの枝にくっつく白い虫。動かないが、中に虫がいてバラの汁を吸っている。大量発生すると最悪、枯れることもある。成虫は殻に覆われて動かない(動けない)が、幼虫は移動する。成虫はブラシで削ぎ落とす。薬剤を散布すると幼虫には効くが、成虫には効かない(効きづらい)ので、間を開けて何度も散布する必要がある。

冬剪定の時に歯ブラシなどで削ぎ落とす。冬の間に削ぎ落とさないと冬を越して持ち越すことになる。冬剪定の時に黒星病対策で散布する石灰硫黄合剤にもカイガラムシ駆除の効果がある。

バラシロカイガラムシは4月5月あたりに孵化すると、その近くの葉っぱがテカテカと光ります。この幼虫のうちはアクテリック乳剤がよく効きますので株全体に散布します。
●アブラムシ・ハダニ・カイガラムシなど汁を吸う虫は排泄物にスス病という黒いカビが生える。スス病でバラが枯れることはないが、洗い落せないし美観を損ねるので、これらの害虫が発生したら早く駆除するべき。

アブラムシ

小さな虫でバラの葉や枝から汁を吸う。特に新芽(ツボミも)を好み、アブラムシが発生すると新芽が生育せず、株が弱っていく。3月から発生しはじめる。ウィルス感染させることもあり、発生したら薬剤(スミチオン・カルホスなど)を散布して駆除する。前もってオルトラン粒剤を株元にまいていると予防できる。発生したらスミチオンやオルトランで駆除する。

チュウレンジバチ

チュウレンジバチ
チュウレンジバチはバラの新芽を縦に割って、その中にビッシリと卵を生みつける。幼虫がすごい勢いで葉っぱを食べるため、あっという間に丸坊主になる。葉っぱの裏・茎をよく観察して、早めに発見して駆除するようにする。スミチオンが効く。

バラゾウムシ

バラゾウムシ
バラゾウムシは新芽(ツボミも)に産卵し、産卵した部分より上がしおれてさせ、黒く枯らす。つまりツボミがしおれてしまうので、バラ愛好家は非常に嫌う。飛んでくる虫なので完全に防ぐことは難しく、発生する5月にスミチオン・オルトランを散布して防除するしかない。

ヨトウムシ・ケムシ

芋虫・ケムシが葉っぱを食べる。新芽を好んで食べる。ヨトウムシは夜中に出てくるため、昼間には見当たらない。スミチオンやオルトランで駆除する。

ハマキムシ

ハマキムシは葉っぱを糸で巻いて葉っぱを食べる虫。葉っぱが巻き巻きになるのですぐにわかる。葉っぱをその場に落とすと、その葉っぱを食べて成長してしまうので、必ず遺棄する。スミチオンやオルトランで駆除する。

オンシツコナジラミ

白い虫が飛んでいたらコレ。黄色に集まる性質があるので、黄色の粘着テープを張っているとくっつく。ベストガード水溶剤を散布して駆除する。

スリップス

スリップス(アザミウマ)にはトクチオン・スピノエース・オルトランで駆除する。スピノエースは薬害が少ない。二番花が開花するごろに発生する。

おすすめの殺虫剤

スミチオン…1000倍に薄め、展着剤20000倍を足して薄めて使用する・スリップス(アザミウマ)・アブラムシ・カイガラムシ・ヨトウムシ・コガネムシ・アオムシ・バラゾウムシ・バラクキバリ・チュウレンジハバチ・コアオハナムグリの殺虫剤。
スミチオン
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オルトラン粒剤…アブラムシ・コガネムシ(幼虫)・スリップス(アザミウマ)・ヨトウムシに効果がある。土に撒いて根から吸収して効果がある。
オルトラン粒剤
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オルトラン…500倍に薄めて展着剤20000倍を足して薄めて使用する。
オルトラン水和剤
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ベニカ水溶剤…アブラムシ・スリップス(アザミウマ)・コガネムシに効果のある殺虫剤。
ベニカ水溶剤
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コンパニオンプランツ

コンパニオンプランツも検討する価値はありますが、バラを綺麗に育てるならば、薬剤と地道な手入れが王道。バラの生育促進効果があるものは、チャイブ、ニンニク、マリーゴールド、タンジー
●マリーゴールド(フレンチマリーゴールドも)にはアザミウマの天敵のヒメハナカメムシを呼び寄せる。
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