スリップスの生態・予防・駆除と効果のある薬剤

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概要

スリップス(アザミウマ)は植物に発生する害虫の一つ。アブラムシ・ハダニ・カメムシと並んでよく見られる害虫です。ただ、害虫被害としてはトップランカーで、繁殖力が強く、被害も多く、農薬駆除が追いつかない…かなり厄介な害虫。

このページはスリップスの性質や予防法や駆除と農薬についてまとめています。

スリップスの性質

症状・害

スリップス(アザミウマ)は1mm〜1.5mmほどの非常に小さな虫で、幼虫も成虫も植物にくっついて汁を吸うが、アブラムシのように管を差し込んで吸うのではなくて、植物の表面をかじって汁を吸うので、その削りカスが白い粉となって出てくる。表面の組織を削ってしまうために、葉っぱがテラテラと銀色に光って見える。

スリップスは別の植物からウィルスを持ち込んで感染させることもあるため、これも二次被害として深刻になる。ウィルス病は感染すると治療はできず、また、他の株へも感染するため即刻廃棄しなくてはいけない。

増え方

スリップス(アザミウマ)のメスは一度の産卵で100個から300個くらいの卵を産み、例によってというか、メスだけでも産卵できる。つまり、一匹のメスがやってきたら、スリップスはいくらでも増える。気温が高いとき…気温30度のときは世代交代(親が子を産み、その子が孫を産むまでのサイクル)を10日から二週間ほどで行うために、爆発的に増えやすい。気温30度で天敵なしの環境ならば、単純計算で一匹のメスがやってきて最短で10日か二週間ほど、最長でも四週間後には10000個の卵が産み付けられ、孵化する計算になる。そりゃ、枯れても不思議じゃないですわ。

ちなみに一度も受精していないメスが産む卵は全て「オス」で、受精したメスが産む卵は全て「メス」になるらしい。

生態

卵からかえると、植物を食べつつ、成長し、不完全変態を経て、成虫になる。不完全変態というのは蛹を経ないで、幼虫から成虫へと変態することで、代表的なのが「セミ」。ただ、サナギのような状態の時期があり、このときは土の中にいます。

スリップスの成虫は自力で移動する能力は低い。風に乗って移動する。

よって、あまり遠くからやってきて害をなすということはなく、近場に雑草が生えていたりして、スリップス(アザミウマ)がすでに住んでいる植物がないと、そうそう発生しない(絶対じゃないですけどね)。よって、周囲の草取りや他の鉢のスリップスを早めに駆除することが予防策になる。
●小さな虫で爆発的に増えるため「テデトール」は厳しい。農薬を散布するのが一般的。

農薬以外のスリップスの予防策

草取り

スリップス(アザミウマ)は風に乗って移動してくるので、近くに雑草が生えていて、そこに住んでいると移ってくる。なので雑草を刈って綺麗にしてやると予防になる。農薬以外ではコレが一番効果がある?かもしれない。ただ、気温が高くなる8月に雑草を取りをするのは日射病の恐れがあり、命の危険を伴う。命とガーデニングとどっちが大事かと問われたら、そりゃ命でしょう。

葉っぱに水をかける

乾燥すると発生しやすいので、葉っぱに水をかけてやると予防になる。葉っぱの裏にも水をかけるようにする。葉っぱに水をかけるのはスリップスだけでなくハダニにも効果があるので是非。

防虫ネットをかける

スリップスは1mmかそれ以下の小さな虫。なので網の大きさが1mm以下のもので覆えば、スリップスの発生を予防できます。しかし、まぁ、面倒だし美観を損ねる。これは野菜・果実といった農薬を使いたくないものに限る。
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フレンチマリーゴールド

フレンチマリーゴールドキク科の一年草で、スリップスがよく発生します。発生するとスリップスの天敵のタイリクヒメハナカメムシがやってきて捕食し、他の植物のスリップスも食べてくれます。

カリを増やす

肥料成分にカリウムが多いと、植物の皮が厚くなり、スリップスなどの被害を抑えることができます。テキメンな効果があるわけじゃないですが、そういう効果があることを知っておくといいです。

素直に農薬を撒く

爆発的に増える繁殖力と、その小さな体で、人力ではどうにもならない。素直に農薬を撒くことが、手早く賢明な駆除方法であり予防方法でもある。早めに駆除することが、次の世代のスリップスを減らすことになるので結局はお得というか賢明。意地を張って無農薬にこだわっているうちに致命的なダメージをくらう(そのくらいスリップスは繁殖力が強い)。

テントウムシ・カブリダニ・ヒメハナカメムシなどがスリップス(アザミウマ)を食べる天敵だが、農薬を散布していると天敵が駆除され、繁殖力の強いスリップスが爆発的に増える要因になる。まずはオルトランなどの浸透性の薬剤を使って発生を抑えつつ、大量に増えてしまったら、ダントツなどで駆除しましょう。

それにスリップスはウィルス病が怖い。ウィルス病は一度感染すると治癒は不可能で、植物を廃棄するしかない。ウィルス感染を予防するためには農薬は選択肢から外さないほうがいい。
●農薬の健康被害を問題視する人もいますが、野菜・果実であっても、収穫の「何日前」ならば大丈夫という説明書きがあるので、それを守れば問題ありません。

農薬

農薬にはオルトランやベストガードのような植物に浸透して、食害した害虫を駆除するものと、直接スリップスにかけて駆除するものがあります。両方を併用して駆除するのが基本です。

ちなみに、スリップスは2週間で卵から成虫になるため、被害の発生後は2週間おきに薬剤で駆除することが大事です。それ以上の間をあけるとスリップスは徐々に数を回復させてしまいます。

農薬の種類

オルトラン粒剤
地面に撒いて、根から成分を吸収して、汁を吸う害虫を駆除する。スリップスだけじゃなくてアブラムシやハダニやヨトウムシなどにも効果がある。ただし、耐性がつくので、他の農薬を併用するのが一般的。非常に便利。植物の汁を吸わないテントウムシなどの益虫は殺さない。
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オルトラン水和剤
吹きかけるタイプのオルトラン。
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ベストガード
土に撒いて、汁を吸う虫を駆除する。効果が長続きするので、野菜・果物じゃないならコレは便利。アブラムシなどにも効果がある。植物の汁を吸わないテントウムシなどの益虫は殺さない。
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ベニカベジフル
スリップスの天敵のテントウムシも殺すが、スリップスに吹きかけると効果あり。
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ダントツ水溶剤
多くの害虫に効果のあるネオニコチノイド系殺虫剤で、ホームセンターなどの店舗で手に入りやすく、幅広い植物にも使え、スリップスによく効く。大量に発生したら使って駆除しましょう。おそらく、スリップス対策でも最も一般的な薬剤。
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モスピラン顆粒水溶剤
ネオニコチノイド系で少ない量で長期間効果が続く。スリップスに効果はあるが、初期の段階には効果があるが、大量に発生して以降はあまり効果がない。大量に発生して以降はダントツ水溶剤にしておきましょう。
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アドマイヤーフロアブル
ネオニコチノイド系でスリップス以外にもアブラムシ・カミキリムシ・カメムシ・コナジラミなどに効果があります。
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