バラの冬剪定

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バラの冬剪定

このページではバラの栽培で大事なポイントとなる冬剪定についてまとめています。

冬剪定の時期

バラは2月には根が動き始め、小さな芽が目視できるようになる。3月になるとその芽が伸び始める。冬剪定は芽が確認でき、伸び始める前に行うので2月が適している。ただし早くから活動を始める品種もあり1月下旬に行わなくちゃいけないものもある。

また、地域によってもバラの活動時期は変わってくるため、寒冷地ではもっと遅くに剪定は可能。

株の中に日が通るようにすることで、株の根元からシュートが出てきて開花する(シュートが出る品種ならば)。また、枝をさばいて風通しよくすることで病害虫の予防になる。また、乱れがちな樹形をコンパクトに整えることも可能。

補足

イングリッシュローズは刈り込んでも花が咲きやすいので気にしないで剪定するべき。
●冬剪定をしなくても枯れることはない。ただし、枝が混み合い、風通しが悪くなり、株が老化してしまう。毎年必ず冬剪定する。
ツルバラ樹形は早めに活動し始めるので1月下旬までに冬剪定しておくといい。
●冬剪定では葉や枝がなくなって作業しやすい。このときに株元にマルチングをして泥ハネ対策(=黒星病対策)を行っておくと楽。
●冬剪定の時に株元に小さなが穴がないか? オガクズ(木クズ)がないか調べる。穴・オガクズはテッポウムシ(カミキリムシ)の印。見つかったら、穴に薬剤(スミチオンなど)を注入して駆除する。

冬なのに休眠してない時…

暖冬のときや地域によっては12月〜1月になっても花が咲いていたり、新芽が出ていることもあります。でも、冬剪定はしないといけません。そこで「強制休眠」させてから剪定します。

葉を全てむしると、水の吸い上げが減り、強制休眠に入ります。冬なのに葉が青々としているなら、葉っぱを落として休眠させてから一週間か二週間後に剪定したり、植え替えするといい。ただ、暖冬だと、むしってもむしっても芽が出てくる。なら気にしないで剪定するし、植え替えもする(コレはもうしょうがない)。
●休眠していないのに、剪定すると茎から樹液が出る。でも、やらなくちゃいけないのですよ。よってやるしかない。

バラの冬剪定の目的

樹高を抑える

バラは低木で、放置していると結構大きくなります。すると花が咲いても頭上で咲いてしまい、見えませんし、冬剪定で枝を捌いて制限しないと一つ一つの花が小さくなります。

枝の更新

冬剪定は株を「更新する」のも大きな目的です。

バラは古い枝には花がつきづらくなり、新しい枝に開花します。古い枝を落とすことで次のシュートが出やすくなるので古い枝は根元から切ってしまいます。古い枝は枝が茶色く木質化していて、新芽がほとんどない(動いていない、膨らんでない)のですぐに見分けがつきます。対して新しい枝は緑色で新芽が多いです。

病害虫対策

風通しが悪いと病害虫が発生します。バラは病害虫が発生しやすいので、剪定をして枝葉間引いてやらないといけません。また、昨年の病害虫を更新しないように、昨年の葉を取り除きます。

バラの冬剪定の概要

まずは枯れた枝を切り、病気の枝、細い枝を落とす。必ず全ての葉っぱを切り落とす。また、枝先を切り戻す。この全ては冬剪定(春剪定)で必ず行う。また昨年、一番花が咲いた枝は切り戻し、太い硬い枝は浅く切り戻し、細い柔らかい枝は深く切り戻すようにする。詳細は次の項目であげます。
●葉っぱを落とすことで病気を持ち越さないようにする。切った葉っぱを株元に捨てず、回収して廃棄する。放置していると病気が残る。
●枯れている枝・病気の枝の枯れている部分・病変部分は必ず切り、元気な部分まで切り戻す。株元近くまで切り戻すことになってもとにかく切る。バラは病気にかかりやすい。イングリッシュローズが病気に強いといってもこういう作業をキッチリした上での話。
●冬剪定時期では芽かき作業は行わない。

ツル樹形の剪定・誘引は を参考に。

バラの冬剪定の手順

①枯れ枝・病気の枝を落とす

病気を持ち越さないために枯れ枝や病気の枝を落とします。変な枝は落としてしまいましょう。

②細い枝を落とす

伸び始めて若い未熟な枝を落とします。未熟な枝とは折り曲げると潰れるように曲がる枝です。細い枝(直径5mm以下)も落とします。細い枝を残していると、そこからもっと細い枝が伸びて、ごちゃごちゃして風通しが悪くなり病害虫が発生しやすくなります。また、栄養が分散されて花が小さくなるなど良いことがありません。ただ、他に枝がない場合は、多少残してもいいです。

株の内側に伸びる枝(=ふところ枝)を落とします。この枝を放置していると、風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。

③古い枝を切る

ここでいう「枝」とは根本から生えてきているやつのことです。
古い枝を根元から切ってしまいます。

大体3年ほど花をつけると徐々に花が減って開花が鈍い…古い枝(細い枝や枯れ枝しか分枝していない)になります。株全体の状況(他の枝との兼ね合いなど)を見て、根本から切ってしまいます。放置すると老化した枝ばかりになってしまう。

バラは幼木のうちはシュートが出やすいですが、充実してくるとシュートが出づらくなる傾向があります(品種によっては充実してもシュートが出やすい)。シュートが出にくいならば多少古くても枝は残していきます。この辺りの判断は個人的な判断になります(バラ栽培はこういうのが多い…たくさんのマニュアル・情報が跋扈するのはこのため)。
●ベーサルシュートが出て、古い枝を更新していく品種と、成熟してくるとベーサルシュートが出ない(出にくくなる)品種もある。ベーサルシュートが出る品種は古い枝を落として、更新していくが、出にくい品種は現在の枝を大切に扱う。

④切り戻す

残った枝を切り戻します。

前年の一番花を咲かせた枝の半分よりちょっと上あたりの切り戻します。剪定をすると株全体が元の高さの2分の1から3分の1ほどになります。もしくは樹高1mを目安に、「外側に向いた芽」を残すように切る。

残した枝が多いと花が多く咲くが、株の充実度によっては手に余ってしまい花が小さくなったり株が疲弊してしまう。そこで「去年『一番花』を咲かせた枝」を全て残すのではなく、全体とその枝とのバランスを考えて間引いていく。このあたりは経験で判断するしかない。太い枝に中程度の太さの枝があれば二本あってもいいが、細い枝には細い枝を一本残すだけにする…といった枝ごとの判断と株全体のバランスを考えつつ剪定していく。

補足情報

●「一番花が咲いた枝」は春から秋に花ガラ剪定をしたあなたであれば分かる…というかまぁ、枝を見れば分かる。
●株が充実しているのであれば枝はもっと多く残してもいい。また品種によっても違う。数年経過した株で充実していれば一本の枝に5本から8本の枝を残すこともある。
●枝数が多いと混み合うので、判断で減らす。どうもよくわからない場合は、冬(2月)の植物園・バラ園に見に行ってみる。剪定・誘引をした結果が見られて参考になる。
●細かいことは考えずに樹高1mあたりで切り戻すのでもいい。とにかく冬に剪定しないと全然咲かない。でも、初心者は「バッサリ剪定」が怖い。怖くてもやろう。剪定を繰り返すことで剪定が怖くなくなり上手になります。
●弱っている株は剪定後の切り口に癒合剤を塗っておくといい。
●外側の芽の上で切る。内側の芽の上で切ると枝がお互いに絡み合い、密生し、風通しが悪くなり、日光を奪い合い、病害虫が発生しやすくなる。
●バラは頂芽優勢で一番上の「芽」に栄養が行くようになっている。なので剪定の時に高さを揃えないと均一に生育せず、高い枝だけがよく咲き、短い枝は鈍い…ということになる。
●芽が見当たらない場合は、少し高い位置で剪定して、後日、芽が膨らんできてから調節する。
●栽培スペースがない人はどうしても「強い剪定(=強く切り戻す)」になる。
●道具は消毒する(感染予防のため)。キッチンハイター(泡)で洗うと楽。もしくは薄めて吹きかける。バラ園は消毒剤を入れたバケツに1株を剪定し終えるたびに放り込んで複数のハサミをローテーションさせる。焼いて消毒が良いが刃が傷むし時間がかかる。アルコールはウィルスに効果がないので流水+ハイターが現実的。ハイターの代わりに第三リン酸ナトリウム(商品名でいうとビストロン)もあり。

参考ツル樹形の剪定・誘引はツルバラを参考に。

⑤シュートを切り戻す

最後に去年・一昨年に伸びたベーサルシュート(株元から伸びたシュート)を切る。他の枝より若干高い位置で切る。高く切ると春に枝が伸びて先に花が咲く。

⑥葉っぱを落とす

葉っぱは全て落としてしまいます。落葉していない場合もです。葉っぱには病気の菌が残っていて、これをそのままにしていると病気を持ち越すことになります。株の下に落とさず廃棄します。また株元に落ちている葉っぱも除去し廃棄します。

⑦剪定の様子を撮影しておく

剪定後に、剪定した様子をスマホで撮影しておいて、春に芽が出たとときに、同じように撮影しておくと、のちの剪定の参考になりますよ。

その他

拳骨剪定(ゲンコツ剪定)

拳骨剪定(ゲンコツ剪定)は株元のコブ状の接木された継ぎ目の真上でバッサリと全てを刈ってしまう超強剪定のこと。残った部分がゲンコツみたいなのでそう呼ばれる。株全体を完全にリセットする。ゲンコツ剪定は強い負担がかかり、芽が出ず枯れることもあるので、そのリスクを理解した上で行う。ゲンコツ剪定も12月から2月に行う。

冬剪定と一緒にやる作業

誘引
ツルバラ(もしくはツル樹形)は剪定と誘引を同時に行います。

石灰硫黄合剤の散布
黒星病やその他の病害虫に効果のある石灰硫黄合剤を散布する場合もあります。昨年黒星病が発生していたら散布した方がいいです。石灰硫黄合剤も冬剪定同様に芽が動き始める前に行います。芽が活動してから散布すると薬害が発生します(薬剤でバラの新芽が傷む)。

マルチング
剪定して枝葉を落としてサッパリした今こそ、株元にマルチングの作業がしやすい時期です。また3月以降はバラが水を欲しがりますので冬剪定(12月から2月)後にマルチングをして蒸発を防ぐことで水切れを防ぎます。

テッポウムシのチェック
株元に穴が空いていたら鉄砲虫がいます。放置していると春以降に枯れてしまうので必ずチェックして薬剤を殺します。

カイガラムシ・ハダニなどのチェック
カイガラムシやハダニが寒い中で集まって冬を越そうとしているので、ハダニは薬剤をかけて殺し、カイガラムシはブラシなどで削ぎ落とします。

元肥(寒肥)
12月から2月の間に元肥をやります。元肥は今から5月の一番花の開花までの大事な肥料です。

雑記

●株が弱っていて葉っぱを落としたくないが、剪定の必要がある場合などは「折り曲げ剪定」を行います。茎を折り曲げて、葉っぱを落とさないで、その下の新芽を出させます。手で折れない場合はペンチで潰してから折る。折ってからヒモやテープで固定し、順調に新芽が出て葉っぱが転回したら追ったところで剪定します。夏剪定・冬剪定では使われない。緊急避難的手法。

●冬剪定が終わると、庭やベランダがスッキリして「わぁ!まだ置けそう!新しい苗を買っちゃおう!」と新品種を買ってしまい、春以降にゴチャゴチャになり、作業に追われてゲッソリする。買うなら捨てる。もしくは譲渡。断捨離しましょう。
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