トウガラシ栽培の詳細版…中級者以上のための長文テキストです

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トウガラシ詳細版
トウガラシ詳細版
科名ナス科
属名トウガラシ属
学名Capsicum annum
耐寒8度
水やり水を好む
場所外の日なた
難易度初心者向け
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開花
種蒔
植え
肥料
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唐辛子(トウガラシ)とは?

唐辛子トウガラシ)はナス科トウガラシ属の多年草。日本では冬までに枯れる一年草扱いです。観賞用と食用とあり、観賞用は食べられません。ナス科植物に良く見られるタイプの花を咲かせます。「親の意見となすびの花は千に一つの無駄もなし」というようにナス科の花はほぼ間違いなく実が付きます。花も綺麗です。

トウガラシを大量に消費する家庭は限られています。シシトウの方が調理して大量に消費しやすいですので、シシトウも家庭菜園の候補にしてみてください。

トウガラシの中でもシネンセ種(ハバネロ・ジョロキア・キャロライナリーパー)といった特殊なものは野菜として買うと高く、調味料としても結構、値がはるので、好きな人はこれらを栽培して、冷凍保存したりレンジでチンして薬味にするとすごくお得な気になります。
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水やり

鉢植えの場合は、土が乾いていたら水をしっかりとやります。根が浅いために、水が切れやすいです。特に夏は水切れが起きやすいです。

乾燥に弱いのを避けるために根本に腐葉土やワラを敷いて乾燥避けをするとよいです。マルチをするといいです。畑植えで、マルチをすると水やりはほとんど不要になります。

トウガラシに限らず、頻繁に水をやると「頑張らなくても水もらえるから」と、根の張りが鈍くなり、逆に乾燥に弱くなります。反対にちょっと水を控えることで、危機感を持つのか、根の張りが良くなり、比較的乾燥に強くなります。また辛味も増します。

一方で甘味が売りのトウガラシを育てるときは、シオシオにならないようにしっかりと水やりをしましょう。
葉っぱに水を掛けることでアブラムシ・ハダニ避けになります。

管理場所・日当たり

日当たりで管理します。午前中から2時くらいまで日が当たる南側のベランダであればベランダ栽培も可能。むしろ夏に水切れが防げます。

日光を浴びるとドンドン成長しますので、出来るだけ日当たりで管理します。真夏の直射日光には弱く、葉焼けを起こしてしまいます。それでトウガラシが枯れるということは無いのですが、温度があまりに高いと障害が出ます。状況を見て、鉢植えであれば半日陰(木陰)に移動させてください。

30度を超えると温度障害が起きて、花が咲いても実が付きません。鉢植えで実が付かないならば半日陰に移動させてください。

越冬させて来年も栽培できる

多年草なので、越冬もできなくもないです。地上20センチくらいでカットして、暖かいところで管理し、水を控えれば、越冬して春にはまた収穫できるようになります。

もともと唐辛子は多年草(宿根)です。苗の時期をすっ飛ばして生長するので収穫量が増えます。とはいえ、多少増えるだけで、越冬の手間を考えると買い直した方がずっと楽。

春に現在よりさらに大きな鉢に植え替えてください。植え替える場合に、土を落とさずに植えましょう。ただ、連作障害を起こし、徐々に弱ってしまうので、ずっと収穫するというのはできません。

植え付け・種蒔き

時期

3月〜4月に種まき・育苗、5月〜6月に苗を定植します。発芽するのに25度ほど必要で、3月〜4月に発芽させるためには保温・加温が必要になるため、一般家庭では種まき・育苗は一般的ではなく、普通は5月〜6月の最低気温が15度以上になった頃に苗を植えます。
●改良された品種は育てやすい。反対に古い品種や海外の品種は弱い。苗の時は病気やウィルスに特に弱く、ニコチンにも弱い。タバコを吸った後、手を洗わずに触ると枯れることも。

連作障害

ナス科の他の植物、ペチュニアカリブラコアサフィニアルリヤナギといった園芸植物やナストマトミニトマトといった野菜の類を昨年植えている場所には唐辛子を植えないで下さい。これらは連作障害を起こします。畑に植える場合は二年か三年あけて植えてください。

プランターに植える場合は前の土を全て廃棄して新しい土を植えてください。

用土

鉢植えであれば、市販されている培養土で植え付けをします。自作する場合は、赤玉土7腐葉土3に化成肥料を規定量入れたものを使います。庭植えの場合は、庭土に腐葉土か堆肥を2割ほど足して用土とします。

種まき・育苗(3月〜4月)

発芽には一般種は30度前後で数日で休眠打破。島唐辛子は25度で16時間のあとに20度で8時間管理すると休眠打破されて発芽します。ちなみに市販の種子は休眠打破がされているため、この作業は不要です。

昨年、採種した場合のみ、休眠打破が必要になります。発芽までが大変ですし、そんなに大量のトウガラシを消費することもないので、苗を買って植え付けるのが普通です。

ビニールポットに用土を入れ、タネを2粒か3粒まいて、その上にうっすら土をかぶせます。大体5mmほどです。分厚く土をかぶせると発芽しないことがあります。

あとは乾燥しないように水をやって、明るい日陰で管理していると一週間ほどで発芽します。発芽して本葉が出たら、間引いて一本立ちにして、通常の2倍に薄めた肥料をやります。木陰など少し明るいところに移動させましょう。日光が不足すると徒長します。

シネンセ種は本葉が出てから、8枚になるまでが長いです。

葉っぱが8枚になるまでそのまま育ててから、鉢植え・庭植えにします。種まきから植え付けまでは2ヶ月半くらいです。

苗の購入(4月〜6月)

大量に消費するものでもないので、普通は苗を買って植える。ホームセンターで流通し始めるのですが、長い間ポットに植えられたままの株は「老化株」で、栽培ができないわけじゃないので、生育がうまくいかないので、割引されたものとか、傷んだものは避けましょう。

また、ポットの底の穴から根が出ているものも避けます。

一番花がふくらんでいるものを植えるのがよいというのが定説なんですが、そこまで大事ではないです。

品種について

トウガラシは鷹の爪系の小型種と、シネンセ種があり、シネンセ種がハバネロなどなのでこちらの方が辛い、ということにもなっているんですが、実際は甘い品種もあり、どちらがより辛いということではないです。

あと、トウガラシは土壌の影響を受けやすく、土の性質によって辛味種でも、全然辛くない、ほとんどないということがあります。なので外国品種を植えると、土壌が違うので思ったような味にならないということがあります。

日本で作出されたものや、すでに栽培されていて評価されているものを植えるのが無難。まー、ホームセンターで売ってるものを育てるといいですよ。

新しい品種は病害虫に強く、ウィルス病にも耐性があるので、できるだけ新しい品種を植えた方がいいですよ。

畑植え(5月〜6月)

トウガラシは酸性の土を嫌いますので、庭植えするときは深さ20cmほど掘り返して、植え付けの二週間前に前もって苦土石灰を混ぜ込んで中和させておきます。苦土石灰は石灰とマグネシウムが混ざったものでマグネシウムは葉緑素の材料です。

一週間で中和が終わるので、この土に堆肥か腐葉土を元の土に対して2割か3割ほど入れて、化成肥料を規定量入れてよく混ぜて用土とします。できればこれを一週間寝かせて土を馴染ませてから植え付けます。

高さ15cm幅70cmの畝を作って、ビニールマルチを貼ります。マルチは地温の保温と乾燥予防になります。アブラムシがキラキラしたものを嫌うのでシルバーマルチがよいです。

株間50cmにを空けて、株を植え付けます。トウガラシは必ず浅植えにしてしてください。
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鉢植え(5月〜6月)

根が浅いので、鉢でも地植えでも大差ない。鉢植えする場合は、出来るだけ大きなものの方が収穫量は増えるので、10号鉢に1苗を植えます。また、根が浅いので深い鉢でなくてもいいです。

鉢の底の穴を鉢底ネットで塞いで、その上に鉢底石(軽石)を3cm入れ、その上に用土と株を入れて、隙間に用土をつめていって、最後にしっかりと鉢底から水が出るまで水をやって完成です。

支柱を

支柱を
トウガラシは根が浅いためにちょっとした風、雨で土がえぐれると、根本からはがれて倒れることも。支柱を立てて支えてください。支柱を立てて、麻紐で結びます。

支柱は最初は一本でもいいですが、大きくなってきたら、3本で円錐型(三角錐)に組んで交差したところを紐で結んで固定し、枝も紐で結びます。

芽かき・仕立て(5月〜6月)

一番最初に開花した花を「一番花」といい、これより下から出る脇芽は取り除いて、一本仕立てにします。芽かきをしないと、伸び放題になりますが、収穫量は減ります。ですが、小さくまとまり、強風に強いというメリットも。通常は芽かきして仕立てます。

一番花より上か、一番花のすぐ下で出た脇枝のうち元気のいいものを3枝残して、その後に出た脇枝は伸ばし、開花結実させます。

詳細は を参考にしてください。

残した枝の先に花が咲いたら、上から二つか三つを残してあとのツボミを取ってしまいます。取らないでいると実が沢山出来て上手く成長せず、辛味も薄くなります。

追肥(6月〜9月)

植え付けてから1ヶ月は植え付けの用土に入れた元肥(化成肥料)が効いているのですが、1ヶ月で消費して肥料が足りなくなるので、1ヶ月後から2週間か3週間おきに化成肥料を施肥します。

ビニールマルチをめくって、パラパラとまいてクワで耕して土と混ぜてから、またマルチを戻します。肥料は控えめがコツですが、不足しても成長不良になるので様子を見て判断します。

窒素が多いと開花が少ない、もしくは遅い。が、苗の時点では窒素が多いほうがいいです。でも、大きくなって花が咲く頃にはリンが多いほうがいい…と細かいことを言えばキリがないので、一般的な8-8-8の化成肥料をやればいいです。

葉が小さい、開花しない、雌しべが小さいといった症状は肥料不足を疑う。特に葉っぱが小さいは肥料不足です。しかし、肥料は控えめがコツ。肥料が過剰でも開花しなくなります。

収穫(6月〜10月)

辛味種(鷹の爪など)は赤くなったら一個ずつ摘みます。ハサミでヘタを切りましょう。引っ張ると枝が折れることがあります。ウィルス感染を防ぐため、収穫前は必ず、手を洗い、ハサミは消毒したものを使います。前もって台所の殺菌剤をかければいいです。

もしくは、株全体の果実が真っ赤になったら株を引っこ抜いて、風通しの良い日陰で2ヶ月干して、乾燥させてから保存します。もしくは扇風機でカラカラになるまで一気に乾燥させます。扇風機の方が色・味の劣化が防げる!とも。

その他の品種は適した色合いになったらその都度、収穫して食べます。収穫する時は軍手をして作業しましょう。手がヒリヒリしますし、その手で目・股間など刺激に弱い部位に触れると痛いです。

肉厚なタイプのハバネロやハラペーニョは冷凍保存がききます。食感は悪くなりますが、通年で食べられるのは嬉しい。種を取り、レンジで水を飛ばして、カラカラにしてからミキサー(ミルサー)で砕いて一味にするのもあり。激辛一味は好きな人は大好き。

ただ、電子レンジにトウガラシに匂いが染みつくので、できれば吊るして日陰干ししたり、扇風機で水を飛ばして乾燥させたい。
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●一番最初に結実した実は、小さいうちに早めに摘んでしまうことで、のちの生育がよくなり、収量も増えます。まぁ、一般家庭では気にしないでもいい。
●トウガラシの大量摂取は体に毒です。大量に収穫できても、一度に食べる量はほどほどに。
●実をつけるのは株に負担なので、間引いてやることで、大きなおいしい実ができやすい。これは株の様子を見て、判断する。
●青い未熟なものは、辛めのピーマンて感じの味。
●夏は調子を崩すので、収穫の本場は秋ということも多いので、夏に収穫できなくても諦めずにもうちょっと頑張りましょう。

病気・害虫

ウィルス病(モザイク病)

ウィルス病(モザイク病)に感染すると葉っぱに模様が出て、徐々に弱って枯れる。

アブラムシなどの害虫が運んでくることもあるし、あなたが作業するときにハサミや手から感染することがあります。原因はウィルスで、同じナス科植物のタバコにも感染し、喫煙者が触れることで、トウガラシ苗に感染することもあるので、喫煙者は栽培しないか、作業前に必ず手を消毒する。治療はできず、感染したらすぐに株ごと廃棄する。廃棄しないと他の株に感染する。

問題は発症した株が感染しているのかどうかの判断が素人には難しいこと。ウィルスは変異しやすく、症状も一定しないので、ネットで見た画像と比べても正確な答えは出ない。なので、疑わしいものは即、廃棄するべき。

アブラムシ

アブラムシが発生します。肥料の窒素過多や風通しが悪くても発生しやすい。ウィルス病が伝染するので早めに水で吹き飛ばすか、無農薬の予防(唐辛子+ニンニク、もくさく液、石鹸水などなど)をします。まだ苗ならオルトランでもOK。畑栽培であればシルバーマルチを使うといいです。

唐辛子を粉末にして水につけておくと「唐辛子溶液」が出来ます。これをスプレーで吹き付けると、アブラムシなど害虫の予防にも。トウガラシの粉末でトウガラシの害虫を駆除するってすごい変な感じがしますがね。
「ストチュウ」のページも参考にしてください。

アブラムシといえばテントウムシが食べてくれるので、放置しているとやってくることもありますが、やってこないこともあるんで、とりあえず、来るまでは上記でどうにか対処しましょう。

ハダニ

乾燥するとハダニが発生しやすくなります。ハダニは葉っぱの裏から汁を吸うため、表面からはよくわからないですが、なんだか葉っぱにかすみがかかったみたいに色が抜けていきます。

葉っぱの裏に霧吹きで水をかけると予防できます。

アザミウマ

アザミウマはストライプの入ったビニールマルチを使うことである程度の予防が可能です。他の虫と同様にウィルス病を媒介するので早めに駆除しましょう。生態・薬剤については以下のページを参考にしてください。

タバコガ

タバコガは蛾の幼虫(イモムシ)で、最初は葉っぱ、のちには実を食べます。内部に入り込む前に駆除したい。ゼンターリなどのBT剤で駆除するといいです。BT剤には人間には影響がない薬剤です。
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花が落ちる原因は?

栽培初期はどうしても花が落ちやすい。これは温度不足であることが多い。その後に落花するのは、水切れ、過湿(水のやりすぎ)、肥料過多、肥料切れ、などが原因が考えられます。大抵は、栽培初期のいつものことで、気温が上がれば結実するようになります。

過湿は水のやりすぎが原因ですが、風通しが悪いというのもあります。風通しが良いと、他の病気・害虫の予防にもなるので、風通しの良い場所で管理するか、次からは芽かきをして風を通すといいです。

特徴・由来・伝承

ピーマン、シシトウ、パプリカの仲間。辛味がうりのナス科の植物。日本語では唐辛子、これは中国から伝来したという意味では無く、唐は「外国全般」を指しています。英語ではRed Pepper。ペッパーはもちろん胡椒ですが、唐辛子は胡椒とは関係ないです。タカの爪は一品種。

日本への伝来は1542年。ポルトガルの宣教師から。その後、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に防寒対策として足袋の中に唐辛子を入れていたものが朝鮮半島に伝わった。
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