ヨトウムシ(夜盗虫)

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ヨトウムシとは?

ヨトウムシはヨトウガ(夜盗蛾)、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、アワヨトウ、ハスモンヨトウ、シロシタヨトウ、ハマオモトヨトウなどの「蛾」の幼虫のこと。夜盗とは夜になると土中から現れて葉っぱを食べることから来ている。ちなみに幼虫も夜行性ですが、成虫の蛾も基本的に夜行性。特定の蛾の幼虫ではなくて、同じ性質の害虫をまとめてヨトウムシと呼ぶ。

孵化〜幼齢幼虫

孵化〜幼齢幼虫
孵化して幼齢幼虫の間のしばらくは葉っぱの裏から葉を食べて、透かし状態にする。新芽も食べるため、作物の成長が鈍くなる。幼齢幼虫の間は昼間にも活動して葉を食べていますが、食べる量が少ないので気にならない。

老齢幼虫になってから

老齢幼虫になってから
ある程度大きくって老齢幼虫となると昼間は土中に潜んで、夜になって地上部に出てきて葉っぱを食べて糞を残す。土中に潜むために茶色くなっている。この頃になると体が大きくなっているために明らかに被害が甚大になってくる。

被害が目に余るようになり、犯人(=ヨトウムシ)を探すが昼間は土の中にいるので見つからない。

老齢幼虫は土中の地下3cmくらいに潜むのでちょっと掘り返すと出てくる。掘って引っ張り出して踏み潰すといいです。ヨトウムシが大きく育って、土中に潜むのは大きくなってから昼間に地上に出ていると天敵や人間に見つかりやすいからです。大量に発生すると夜中に活動する「ガサガサ」という音が聞こえることがあります。

何を食べる?被害は?

なんでも食べる。キャベツブロッコリー類が例として挙げられるが、イネ科以外のほとんどの植物の被害があり、雑草も被害に遭う。葉脈以外をよく食べて、ほとんど葉脈だけになります。葉っぱが食べられると植物は当然のように光合成が鈍くなり、生育が悪くなる。
●アオムシ、ハスモンヨトウ、コナガ、ハイマダラノメイガ、カブラハバチも似たような食害をする。

発生時期

3月〜10月に発生する。特に5月〜6月、9月によく発生する。

サナギの状態で土中で越冬し、春に成虫になって卵を産む。

代表的なヨトウムシ

ヨトウガ

ヨトウガは若齢幼虫では頭が黒、体が緑。老齢幼虫は頭が黄、体が黄色・黒。5月〜10月に発生する。特に5月〜6月と、8月〜10月に産卵して幼虫がよく発生する。

シロイチモジヨトウ

シロイチモジヨトウは若齢幼虫では緑色。老齢幼虫では淡い緑・褐色。年間で5〜6回発生する。主に8月〜10月に発生する。

ハンスモンヨトウ

ハンスモンヨトウは若齢幼虫では緑。老齢幼虫では黒・褐色。年に5〜6回はっせいする。主に6回〜10月に発生する。

ヨトウムシの主な予防

まずは防虫ネット!

蛾の飛来を防げば予防はできるので、植え付け後に、トンネルをはって防虫ネットを張ったり、鉢・プランターを丸ごと防虫ネットで覆うことでかなり予防できる。畑栽培の場合、土への侵入は予防しきれないが、それでも蛾が葉っぱに卵を埋めないため、ネットはある程度効果がある。
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卵を発見次第、破棄!

卵を発見次第、破棄!
葉っぱの裏に卵を生み付けるので、見つけ次第、これを取り除き、焼却・廃棄する。そこらへんに捨てるのではなくて、ちゃんと潰すか取り除くこと。

その他の予防法

草木灰

草木灰を混ぜておくとヨトウムシの予防になる。草木灰は土をアルカリ性にして、カリウム・リン酸を供給する効果もあります。ただ、化成肥料に含まれるアンモニアと化学反応を起こすので、草木灰をまいて一週間ほど間を空けてから化成肥料をやるようにします。
草木灰
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米糠(コメヌカ)

米糠にヨトウムシが誘き寄せられるので、米糠を盛っておくと集まる。これを一網打尽にします。米糠は精米所で無料で持ち替えられたり、米屋で買えます。ホームセンターでも販売しています。

クローバーを植える!

クローバーを植える!
クローバーを植えるとゴミムシが集まってきます。このゴミムシがヨトウムシを食べてくれます。クローバーは空気中の窒素を土に取り込んで土を豊かにする性質もあり、一石二鳥です。

ヨトウムシに効果のある薬剤

ヨトウムシだけでなく蝶・蛾は農薬への抵抗がつきやすいので、三種くらいの薬剤を使い回すか、抵抗をつけづらいBT剤を使う。大抵はBT剤のゼンターリで済ます。これでヨトウムシやその他の芋虫系を駆除する。

ただ、植物を栽培している限りは、他の害虫も発生するのが普通なので、BT剤が答えというわけじゃないです。よくあるパターンはいろんな虫に効果があるオルトランを前もって使って予防しつつ、ヨトウムシ・イモムシ系が発生したらBT剤で駆除するというもの。これもオルトランに耐性をつけられることがあるので完璧じゃないんですが、よくあるパターンです。

幼虫は葉っぱの裏に潜んでいるため、薬剤を使うときは葉っぱの裏にも薬剤を散布しましょう。

オルトラン

主要成分はアフェート。植物に浸透して、その植物を食べた虫が死ぬので、野菜・果樹など口にするものには基本的には使えないが、観賞用植物であればオルトランで十分。粒剤は粒で、水和剤は水に溶かして噴霧する。

ただし土柱に潜るほどの老齢になると効かないので、初期だけ。
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オルトラン水和剤
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その他の情報は以下のリンクを参考に。

ゼンターリ顆粒水和剤

BT水和剤。BTとはバチルス・チューリンゲンシスの略で、芋虫(チョウ・蛾の幼虫)の殺虫剤。人間には影響がほとんどないのが特徴で、収穫前日まで散布が可能。また虫にBtに対する抵抗性がつかないので、効果が続く。なので野菜・ハーブ栽培ではゼンターリが大活躍する。ヨトウムシと呼ばれるものだけでなく、オオタバコガ・アワノメイガ・アオムシ・コナガ・ウリノメイガ・キアゲハ・タマナヤガ・シバツトガ・シャクトリムシ・ハマキムシ・ベニフキノメイガといった「芋虫」「毛虫」に効果がある。ただし、他の虫には全く効かない。
ゼンターリ顆粒水和剤
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似たようなBT剤にデルフィン顆粒水和剤、フローバックDF、チューンアップ顆粒水和剤、バシレックス水和剤などがあり、効果は同じようなものなので、これらを使うといいです。

サンケイデナポン

ネキリムシ・ハスモンヨトウ・ダンゴムシ・コオロギなどに効果のある薬剤。散布すると虫を誘引し、この薬剤に虫がたかり、食べた虫が死ぬ。即効性があり、死骸の山になるため罪悪感を抱く人もいるほど(もしくはスッキリする)。土中のヨトウムシにも効果がある。
サンケイデナポン
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野菜に使う場合は収穫の2週間〜3週間前までに使用する必要がある。詳細は以下の商品ページを参考に。
https://www.sc-engei.co.jp/guide/detail/1452.html

カルホス粉剤

主成分はイソキサチオン。人間の体内に蓄積しづらく安全性が高い。主にネキリムシ(コガネムシなど)に効果がある薬剤ですが、ヨトウムシにも効果がある。土に少量を混ぜておく。
カルホス粉剤
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スミチオン乳剤

昔からみられる薬剤。アワヨトウ・ツマジロクサヨトウ・フキノメイガ・シロイチモジマダラメイガなどの蛾の幼虫に効果がある。他にアブラムシ・カメムシ・センチュウ・ハモグリバエ・ウンカ・ハムシ・スリップス・ネダニ・ゾウムシなどにも高い効果がある。
スミチオン乳剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/smichion_n.htm

マラソン乳剤

ウンカ・アブラムシ・ハモグリバエ・アオムシ・スリップスなどに効果があり、ヨトウムシにも効果がある。植物に浸透し、それを食べた(もしくは汁を吸った)虫が死ぬ。マラソン乳剤は植物に残りにくく、野菜によく利用される。家に残っているなら、ヨトウムシに使ってもいいかなと。
マラソン乳剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/marason_n.htm

マッチ乳剤

蝶・蛾の幼虫(ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、オオタバコガなど)やミカンキイロアザミウマ・サビダニの脱皮を阻害することで殺虫する。安全性が高く、目的の虫は殺虫するが、蜂(ハチ)には効かないので環境にも悪影響が少ないとされます。効果は継続するが、効果が見えるまで時間がかかるので、発生してから散布するのではなくて計画的に使用して発生を抑えるもの。
マッチ乳剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/machi.htm

プレオフロアブル

蝶・蛾の幼虫に即効性がある薬剤で、既存の農薬に抵抗のついた個体でも効果があります。フロアブルとは簡単に言うと、粒子が細かいから溶けやすいってことです。ヨトウムシだけでなく、芋虫・ケムシ・アオムシとスリップス・ハモグリバエなどにも効果があります。薬剤が植物に残りにくく、野菜によっては収穫前日まで使えるのも便利です。
プレオフロアブル
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/preo_f.htm

フェニックス顆粒水和剤

蝶・蛾の幼虫の殺虫剤。昆虫の筋肉を収縮させてしまう効果がある。幼虫と成虫に効果はあるが卵には効果がない。若齢が一番よく効き、老齢・成虫には多少効きが悪い。ミツバチなどへの影響が少ないのが特徴。散布して数日は効果が目に見えないが一度散布すると一ヶ月効果が継続する。
フェニックス顆粒水和剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/phoenix_ks.htm

モスピラン粒剤

コナガ・オオタバコガ・ヨトウムシといった蛾の幼虫に加えてアブラムシ・ハモグリバエ・コナジラミ・スリップスに殺虫効果がある。

老齢幼虫には効かないので、使うなら初期にしておきましょう。
モスピラン粒剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/mospiran_r.htm

トレボン乳剤

非常に多くの虫に対して効果のある薬剤で、公園などの管理によく使われている。刺激が強いため、使用に注意する。ヨトウムシにも効果がある。
トレボン乳剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/torebon_n.htm

スピノエース顆粒水和剤

土壌放線菌(サッカロポリスポラ・スピノサ)から生まれた殺虫剤。既存の薬剤に抵抗のついた虫でも効果がある。散布後に即効性があり1週間〜10日ほど効果があるが、その後は日光や菌によって分解される。スリップス・ハモグリバエ・メイガ・コナガなどに効果があり、ヨトウムシにも効果がある。
スピノエース顆粒水和剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/spinos_ks.htm

アファーム乳剤

蝶・蛾に速攻性がある薬剤。コナガ・スリップス・ダニ・ハモグリバエにも効果がある。ヨトウムシに効果があり、その他の害虫にも広く効果がある。また、植物に残りにくいため、野菜類にも使える。使用には気をつける。
アファーム乳剤
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使用できる植物や使用頻度などは以下のリンクを参考に。
http://www.greenjapan.co.jp/affirm_n.htm
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