ニホンミツバチの週末養蜂のまとめ

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ニホンミツバチの週末養蜂

このページではニホンミツバチの週末養蜂についてまとめています。養蜂といっても日本蜜蜂は集める密が少なく、「利益」を上げるのは難しいです。どちらかというと野生の蜜蜂を「かわいいペット」にするといった方が正しい。またかなりの知識と経験が必要なものです。また、ニホンミツバチの養蜂はまだわからないことが多く、勉強が必要です。

果樹・畑が多い地域で養蜂すると、「受粉」してくれたと感謝される。収穫物のお裾分けをしてくれることもあります。蜜蜂の飼育は地域の農業振興にもなっています。
●ニホンミツバチの行動範囲は2km。
●都市養蜂が増えている。新宿のど真ん中で養蜂も。
●蜜蜂は飛びながら糞を落とす。糞害がある。糞害はどうにもならない。洗濯物が汚れる。 これは防げない。近所トラブルのもとになるので注意。

分蜂(3月〜8月)

蜜蜂が増えると、新たな女王が生まれて、女王が半分の蜜蜂を連れて、新たな巣を作るために旅立つ。これを「分蜂(巣別れ)」と呼ぶ。巣から出ると、まず木などに止まって、巣を探します。分蜂が都市部で起きると、ちょっとした騒ぎになり、殺虫剤で駆除することになる。自治体に相談するといいです。分蜂シーズンは3月〜8月(ピークは4月)。分蜂の時期は地域によって違いがあります。九州南部では3月、京都・大阪・名古屋・東京あたりでは4月、東北では5月です。

女王が複数生まれるため、一つの巣で1年で3回〜5回ほどの分蜂をする。この分蜂でできた群を巣箱に呼び寄せることで養蜂が始まります。分蜂は元気な群れでないとおきません。
●分蜂の前に雄蜂が生まれる。雄蜂は女王蜂と交尾後に死んでしまう。雄蜂には針がなく、仕事はしない。雄蜂の入っていた巣房は形状が違っていて、羽化するときにこの巣房がポロポロと落ちる。なので雄蜂が羽化したかどうかはこれを見ればわかります。

巣箱の設置(3月〜5月)

この分蜂の時期に巣箱を用意していると巣箱に住んでくれます。巣箱を買って、巣箱には蜜蝋を塗る。ニホンミツバチは以前に巣があった場所を好みます。なので蜜蝋を塗ることで引っ越しの確率がグっと上がります。蜜蝋は天井に塗る人が多いが、どこに塗ってもそんなに変わらない。
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巣箱は家の前の庭や、畑の隅などでいいです。住宅地でも養蜂はできなくもないが、トラブルの元になるのでやめておきましょう。

巣箱は一箇所にまずは1つから始めて、可能であれば2つにする。周囲の花の数(蜜源)が十分でないなら、複数の群れが維持できないことはよくある。巣箱はできるだけ複数の場所に設置する。一箇所だけと捕獲ゼロというのは珍しくないです。できれば3ヶ所。それ以上可能なら、そうしましょう。
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養蜂で悲しいことは、巣箱の中で巣が落ちる「巣落ち」がおきること。夏に温度が高すぎて蜜蝋が柔らかくなって落下することもありますし、動かしているうちに落下することもある。場所を移動させる際に落ちることもある。これを防止するために巣落ち防止棒がついた巣箱を使いましょう。
●あなたの巣箱で分蜂がおきると、近くの木などに集まる。これを巣箱に強引に入れてしまうか、分蜂集合板を設置して移らせる。
●分蜂して巣箱に移ってくるといっても、何キロも離れたところからやってくることはない。すぐ近く…数百mの範囲に分蜂する巣がある必要がある。ベテラン養蜂家はすでに自分が巣を確保しているため、新たな巣箱を設置するべき場所を把握している。元の巣箱から最低10m離れた場所に巣箱を設置する。
●巣は天井から下へと伸び、秋までに5段ほどできる。高さにして75cmほど。この高さが確保できていないと途中で分蜂してしまったり、引っ越しする。

誘引剤で巣箱に呼ぶ

呼び寄せる確率を上げるために誘引剤を使います。
ラン科キンリョウヘン(金稜辺・Cymbidium floribundum)の花はニホンミツバチが属する「トウヨウミツバチ」を呼び寄せるフェロモンを分泌する性質がある。セイヨウミツバチは反応しない。ニホンミツバチの分蜂シーズンに寄せるために利用されることもある。このキンリョウヘンのフェロモンを人工的に作ったものが「蜜蜂の誘引剤」です。
自家製誘引剤の作り方
水1L、砂糖200g、蜂蜜大さじ1、酢大さじ1を混ぜたものにヤクルトを数滴入れる。ヤクルトが発酵して、その発酵した香りがミツバチを誘引する。これを小瓶に入れて、アルミホイルを被せて、穴を数個空ける。瓶にホイルを被せないと、誘引された蜜蜂が中に入って溺れて死んでしまいます。この誘引剤を巣箱の入り口に設置しておく。
自家製誘引剤より、キンリョウヘン・誘引剤の方がずっと効果があり、効果が長く続きますので、普通は誘引剤を買って利用します。

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最初に探索蜂が飛んでくる。そして良い巣箱だと思ったら徐々に蜂が飛んできます。巣箱は完全に引っ越すまで動かさないようにする。誘引剤やキンリョウヘンも動かさない。

確保後の作業(5月〜10月)

蜜蜂の確保後はほとんど作業することはないです。むしろイジると引っ越してしまうこともあります。

春に巣箱に住んでも、調子を崩したり、近くの花の蜜が減って群が減少したり、蜜を求めて引っ越したりしていなくなることもよくあります。珍しくないです。

巣箱にセイヨウミツバチが住むことがあるが、これは養蜂家が飼っていたものが逃げ出してやってきたもの。セイヨウミツバチはダニや病気が発生しやすく、そのまま育てると病害虫が発生して、それが他の群に広がるかもしれないので、自治体や近所の養蜂家に相談しましょう。
●夏は蜜蜂は水を吸う。これは水で巣箱の気温を下げるため。巣箱の近くに水場をもうけるといいです。
●気温が高くなると、巣が暑さで柔らかくなって、落下してしまう。もしくは巣箱を動かして巣が落ちる。巣落ちすると群は逃げる。ヨシズなどで遮光して涼しくしたり、コンクリの照り返しのないところで管理するようにする。巣落ち防止棒を取り付けて予防する。夏は採蜜をしないようにする。

自治体に届け出る

飼育箱を設置して、そこに蜂が住んだ場合、自治体に届出をする必要がある。これは近い地域で養蜂が増えると蜜の取り合いが起きて、生産量が減るのを防ぐこと(調整することもある)と、蜜蜂の病気情報を伝えるための連絡先の登録のためです。基本的にニホンミツバチの場合は趣味飼育のためだ!と届出ない人が多いが、法律では届出義務があります。面倒ですが届けた方がいいでしょう。自治体によっては巣箱を設置した時点で届出が必要な場合もあります。自治体に問い合わせをしましょう。

天敵について

カリンダニ
2010年あたりから発生しているニホンミツバチに寄生するダニ。外来のダニでニホンミツバチは適応できておらず寄生されやすく、被害が甚大。寄生されると徘徊が増えるが、目に見えて徘徊している状態ではすでにかなり寄生されている状態。メントールを固形化したメントールクリスタルを巣箱の上部に設置することで、アカリンダニを予防できる。メントールは予防であって、治療ではないです。寄生されたものは治りません。メントールによって寄生された蜂からの感染をある程度は予防できます。
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●農薬で死ぬと「舌」を突き出して死ぬとされるが、アカリンダニでも同様の死に方をする。


キイロスズメバチ
キイロスズメバチは蜂を誘拐して食べてしまいますが、健康な女王蜂は1日に1000個の卵を産むため、健康である限り、キイロスズメバチでニホンミツバチが全滅することはないです。近くに巣をつくるなら駆除するが、多少なら無視。

オオスズメバチ
オオスズメバチは大型で獰猛なスズメバチ。蜜蜂を襲うが、他のスズメバチも襲う。一匹捕まえて、粘着シートにくっつけていると、仲間を呼んで一網打尽。巣箱の入り口を蜜蜂は通れるが、オオスズメバチは通れないような大きさにすることで予防できる。ただし、オオスズメバチが入り口をかじって削って入り込むことがある。入り口を金属にすることで対処できます。

スムシ
蜂の巣を食べる虫のこと。蛾(ハチノスツヅリガ・ウスグロツヅリガ)の幼虫で巣を食べるが、幼虫を食べるわけじゃない。巣箱の底に白い糸を張って住んでいる。巣を食べるのは大問題だが、スムシが蜜蜂を全滅させるというよりは、調子を崩した蜜蜂の巣を開けたら、スムシがうごめいているため、スムシが全滅させているというイメージがついているだけっぽい。ほぼほぼすべての巣箱にスムシは住むが、群が健康なら問題がない。ただ、スムシが巣を食べることで群にダメージがあるのは事実。気温の上昇とともにスムシの生育が活発になるので、木陰などの涼しいところに設置したり、風通しのよい巣箱にするとよい。底板を掃除して駆除したり、底板まで遠い「縦長」の巣箱にすることで予防できます。駆除薬剤もあります。

採蜜

採蜜は大体1年に一回。群の調子がいいと複数回、採蜜できるが、基本的に一回。一回につき5kgほどの採蜜できます。

春に巣箱に入った群が蜜を集めて巣を作る。天井から徐々に下へと垂れていき、上の部分に蜜を集め、下の部分に幼虫が育つ。蜜蜂は蜜を集めると、巣の中に貯蔵し、羽を動かして蜜の水分を飛ばす。水分が十分飛ぶと蓋をする。完成した蜂蜜が入った部分には蓋がしてある。

巣箱の中をカメラなどでチェックして十分育っていると確認できたら、巣箱の上を外して、1段目を浮かせてワイヤーで切って取り出す。重箱の中の巣を切ると蜂蜜が出てくるのでタッパの上に置いて一晩かけて垂らして貯める。これで巣の中の蜜の7割くらいは取り出せる。残りの蜜は圧搾して取り出す。圧搾しても全ての蜜が取り出せるわけじゃないので、残りは巣の近くに放置していると、蜜蜂が集めてまた、巣の中に備蓄しておいてくれます。

蜜蜂を落ち着かせるための燻煙器がある。内部で新聞紙か何かを燃やして煙を出し、煙を蜜蜂に当てると、蜜蜂が大人しくなる。なぜ、大人しくなるのかはハッキリしない。蜜蜂が山火事を連想するからという話もあるがよく分からない。
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蜜蜂は攻撃性は低いですし、毒性も薄いですが、無害ではないです。何度も刺されているうちにアレルギーになってしまうので、刺されないように防護をしましょう。防護を被り、ゴム手袋・ゴム長靴を身につけ、長袖・長ズボンを着て、服の中に入り込まないように上着の裾はズボンの中へ、袖はくくってください。作業している時に蜜蜂を殺してしまうと攻撃的になります。服は白いものを使います。黒や紺は攻撃的になりやすいです。
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越冬(11月〜3月)

気温が10度以下になると、蜜蜂は活動をやめ、巣の中で蜜を消費しつつ過ごす。蜂蜜が少ないと餓死する。寒さには強く、群が十分育っていれば越冬は可能。群が小さい場合は危険かもしれない。人によっては巣箱を毛布で包むなどするが、大抵は放置。

春になったら、分蜂するので、近くに巣箱を設置したり、分蜂集合板を置いて巣箱に導いてください。
●スズメバチは冬に活動が止まるため、秋(9月〜10月)にイライラして攻撃的になる。
●秋になると口減らしに雄蜂が巣から追い出される。
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