どこが違うの?生まれた歴史と経緯は?パンジーとビオラ

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パンジー・ビオラとは?

パンジービオラは寒さに強いですが、暑さに弱く、5月前後に枯れてしまう冬〜春の定番の草丈の低い一年草扱いのガーデニング材です。

パンジーとビオラは並べて語られることが多いのですが、両者に違いはあるんでしょうか??

ビオラからパンジーが生まれた

元々は1813年頃、イギリスで園芸家のトンプソンによって野生のビオラから品種改良を重ねた結果生まれた「トリコロール」が始まりと言われています。このトリコロールから生まれた品種群はheartsease(ハーツイーズ)とも呼ばれます。ハーツイーズとは「心の平和」という意味です。

このトリコロールにビオラ・ルテア、ビオラ・アルタイカ、ビオラ・コルヌータの4種を交配させて、19世紀に「ビオラ」の品種改良が進み、生まれたのが「パンジー」です。

現在ある品種は、これらが何度も品種改良されて、どういう経緯で生まれたのかはよく分からないほどです。元となった4品種名に「ビオラ」とあるようにビオラが「スミレ科スミレ属」の学名で、本来はパンジーとはビオラの中の「品種の一群の名前」でした。
ちなみに、パンジーの語源は「パンセ」…物思いにふける、という意味です。蕾が俯いている様子が物思いに耽る様子に似ていることから付けられた名前です。色あい、大きさ共に多々あり、数千種あるとも言われ、現在も開発されて増えていっています。

花の大型化へ

パンジーが生まれた後、しばらくの間は「パンジーの花の大型化」の開発競争が進みました。19世紀の中頃には花の大きさが4センチのパンジーが生まれ、これを「ショウ・パンジー」と呼びました。「ショウ」は綴りでは「SHOW」です。観賞用という意味ですね。

この辺りが「ビオラとパンジーの境目は花の大きさが4センチ」と言われることが多い理由です。
さらに品種改良が進み、19世紀の終わりにはパンジーの中心に「黒いブロッチ」のあるものが開発されました。今ではあんまり人気が無いブロッチですが、当時は「新しく感じられ」て、もてはやされました。

その後、スイスで開発された「スイス・ジャイアント」は花が8センチ。アメリカで開発された「ジャンボ」は花が10センチ。戦後の日本で開発された「マジェスティック・ジャイアント」は花が12センチと肥大化していきます。

こういった「大型化」の中で「パンジーは花が大きく改良されたもの」という認識が定着していきます。

ちなみに本来のパンジーは寒さに当たった後に、日が長くなってから開花するもので、現在のように、冬でも開花する性質はこの品種改良の中で獲得したものです。こう考えると人間の植物に対する欲望は果てしないな〜とつくづく思うのです。

花の小型化へ

大きな花のパンジーが流通したのですが、あんまり大きな花は徐々に嫌われるようになりました。欧米ではよくわかりませんが、日本人はあまり大きな花を好まず、楚々とした小輪・中輪品種に人気が集まり、小輪・中輪の品種改良が進みます。

すると「中輪になったパンジー」や「さらに小輪になったパンジー」というのが出始め、花が小型化したパンジーがなんとなく「ビオラ」と呼ばれるようになります。間違ってはいないんですがね。そもそもパンジーはビオラだったんで、変な感じがしますね。あと、品種改良で勝手に大きくしておいて、今度は小さくするなんて、業が深いなーと思います。

私の記憶では2000年以前ではまだまだパンジーは大輪が流通していたと思います。現在も無くなったわけじゃないんですが、人気品種ではないですよね。当時も別に人気ではなかったですが。

小輪に移行していった大きな理由として「個人のガーデニング」が進んだのもあります。

大輪は広い範囲(公園の植栽や広い土地に花で絵を描く場合など)に大量に植える分には適しているんですが、鉢植えにして鑑賞して、個人で楽しむ分には、大きすぎて、だらしなく見えるので、小輪で次々開花するものの方が良かったのだと思います。

こうしてビオラとパンジーの間に差はなくなっていきました。いや、違いますね。ビオラからパンジーが生まれ、そのパンジーがビオラに近づいていったという感じですかね。でも、現在のビオラもパンジーの品種改良で得られた「真冬でも開花する」という性質を引き継いでいるわけで、厳密に言えば、純粋なビオラとは違うのです。

パンジーとビオラの違いは曖昧

というわけで、パンジーとビオラの違いはありません。でも、過去の歴史から、花が大きいものをパンジー、小さいものをビオラと呼ぶことが多いのも、分かってもらえるかなと、思います。

そもそも、どちらもスミレ科スミレ属の植物なんだから、ガーデナーにとっては、どうでもいいことです。育て方は同じですよ。気にせず楽しみましょう。
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