エビネの育て方

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エビネの基礎データ

エビネ
科名
ラン科
属名
エビネ属
学名
Calanthea discolor
別名
ジエビネ・ヤブエビネ
水やり
水控え目
場所
外の半日蔭
難易度
上級者向け
エビネの開花時期…種まき時期…植え付け・植え替え時期…肥料時期…月別スケジュールです。

エビネの特徴は?

エビネは日本〜朝鮮〜中国に自生するラン科エビネ属の地生ラン。つまり土に根を生やすランです。日本に自生しているランなので栽培は容易なランです。根がエビのしっぽに似ていることから「海老根」という名前になりました。

湿度の高い環境でないと乾燥で枯れやすく、強い直射日光にも弱い。夏の暑さにも弱い種が多く、また、ウィルス病に注意しないといけない!…と栽培難易度はかなり高いとと考えてください。

最近、このエビネの成分に発毛効果があるということで、エビネランエキスの発毛剤が作られています。……どの程度効果があるのか、わかりません。

品種・仲間

ジエビネ

ジエビネ(Calanthea discolor)が一般的に「エビネ」と呼ばれています。春に開花し、栽培はしやすい方です。

キエビネ

キエビネ(Calanthe striata)は春に開花する、花が黄色いエビネの仲間。甘酸っぱい香りがすることがあります。育てやすい方です。ちなみに、ジエビネ、キエビネと、これらの交配種以外は一般家庭での栽培は適さないです。

サルメンエビネ

サルメンエビネ(Calanthe tricarinata)は東北・北海道や、四国九州の山地で見られるエビネの仲間で、暑さに非常に弱い。寒冷地向けです。

ナツエビネ

ナツエビネ(Calanthe puberula)は本州・四国・九州の林で自生する夏(7月〜8月)に開花する種。暑さと乾燥に弱く、平地では栽培が難しい。

アサヒエビネ

アサヒエビネ(Calanthe hattorii)は小笠原諸島に自生するエビネの種。盗掘が増えて絶滅危惧種となっています。夏に開花します。

タカネエビネ

タカネエビネ(Calanthe Bicolor)はエビネとキエビネの自然交雑種、ではないかと言われています。

ニオイエビネ

ニオイエビネ(Calanthe izuinsularis)は伊豆で発見された種で、花が多く、また、香りがするのが特徴。栽培は難しい。

水やり

鉢植えの水やり

土が乾いていたら水をしっかりとやってください。水切れに弱いですが、土が常時濡れている状態だと根腐れを起こして枯れてしまいますので、土が乾くまでは水をやらないでください。

芽が出てしばらく…葉が成長しきって色合いが変わるまでは、上から水をかけないようにし、土に注ぎ、芽の隙間に水が溜まらないようにします。水が腐って、芽を痛めてしまいます。もしも溜まってしまったら、ティッシュでコヨリを作って、吸い出しましょう。

年間を通して、土が乾いたら水をやります。冬もエビネが活動しているのか、よくわかりませんが、水を吸い上げるため水切れを起こすので、様子を見て水やりをしてください。

葉水と湿度

温室・室内で管理する場合は、加湿器をかけ、湿度は最低でも50%にし、その上で葉っぱに霧吹きで水をかけて湿度を保つようにします。湿度が低いと乾燥で枯れてしまうので、注意します。

肥料

春(3月〜6月)と秋(10月前後)に固形肥料(化成肥料や油粕)か液肥を与えます。肥料は「控えめ」を基本にしましょう。液肥であれば、通常よりさらに3倍か4倍に薄めたものを、週に一回。固形肥料であれば少量を1ヶ月に一回です。

肥料が不足しても成長が鈍くなることはあっても枯れませんが、肥料が多すぎると根を傷めて枯れてしまいます。控えめがコツです。でも、肥料があった方が株が大きくなり、健康になるので必ず施肥しましょう。

夏(7月下旬〜9月上旬)は暑すぎて成長が停まります。肥料は与えないでください。夏の暑さに強いジエビネやキエビネだったり、環境がよく、夏でも生育しているのであれば、夏も同様に肥料をやるといいです。もちろん、控えめに施肥してください。

植え付け・植えかえ・種蒔き

時期

鉢に根が周り、根詰まりしているようならば植え替えをしましょう。根詰まりすると、水切れしやすくなり、葉っぱが黄色くなって調子が悪くなります。大体2年か3年に一回は植え替えをします。

植え替えは開花後の3月あたりか、夏を越して涼しくなった9月です。開花しているときは、調子を崩すのでいじらないようにします。

用土

水はけのよい土で植え付けます。日向土4赤玉土4腐葉土2を混ぜた土か、それにヤシ殻・バークチップを入れます。

鉢植えの手順

ウィルス病を予防するために、作業をする前に用具(ハサミ・スコップなど)を殺菌し、清潔な状態しておきます。

古い鉢から株を取り出し、古い土を3分の1ほど落とします。新しい鉢は以前より1号ほど大きなものにします。もしくは株分して5号鉢に1株を植えるようにしましょう。素焼き鉢だと水切れしやすいので、駄温鉢やプラ鉢の方が適しています。

容易した新しい鉢植えの底の穴を鉢底ネット(鉢底網)で塞いで、その上に鉢底石(軽石)を2cm〜3cm入れて、その上に用土を入れて、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に鉢底から水が出るまで水をやってください。

密生している場合は、鱗茎が3個〜5個が付くように清潔なカッターで割って別々に植え付けます。

庭植えの手順

深さ20cmの穴を掘り、上記の栽培用土を入れて、エビネの株を植え付けます。隙間に土を入れて、最後に水をやって完成です。

庭植えにした場合でも密生してくると調子が悪くなるので、4年に一回くらいの頻度で掘り上げて、株分して、株間を取って、植え直します。

管理場所・日当たり

年間を通して風通しのいい半日陰で育てます。エビネが自生している場所は、林の木の根本などの、木漏れ日が指すような場所です。直射日光が当たると葉っぱが焼けて傷んでしまい、枯れることもありますので、日当たりのいい場所には置かないようにしてください。

また、蒸れに弱く、風通しの悪い場所で管理していると、蒸れて傷んでしまいます。

夏越し・夏の管理場所

暑さに弱く、夏に涼しい環境に移動させる必要があります。風通しの良い半日影か明るい日影に移動させ、乾燥しないように水をやってください。

越冬・冬の管理場所

冬の寒さにも強い方では無く5度を下回ると枯れてしまいますので、霜が降りる前に室内に取り込んで管理してください。品種によって寒さに強いものもありますが、基本的に霜に当たると枯れます。

また、北風は乾燥しつつ寒いため、エビネは苦手で、当たると株が枯れてしまいます。鉢植えであれば室内に取り込めばいいですが、庭植えの場合は、霜除けをして乾燥と寒さを防ぎます。

ハカマ取り

葉の根本についた薄い皮で、成長すると茶色くなってきます。これが腐って病気になることがありますし、邪魔だし、見た目にもよくないので、変色したら取り除きます。

花ガラ摘み

花が咲き終わると、種子を作ろうとして、種子を作ると株が弱り、来年、開花しにくくなります。花がしぼんだら、一個摘み、一個摘みとするのが理想ですが、そんなのは面倒なので、半分くらいの花が終わったら、根本からねじ切ります。

ハサミで切ると茎が残って、それが腐ることがあるので、ネジ切って取り除きましょう。

バックバルブ吹き

ラン系の植物でよくやる方法で、バックバルブ吹きってのがあります。バックバルブとはエビネの株の中にある古いバルブで、ちょっと色が悪くて、もう茎が出ていないものです。これは新しいバルブの栄養を提供しているだけなんですが、切り離して管理すると新芽が出てきます。

バルブを離して、これをミズゴケに包んで、乾燥しないように管理していると芽吹きます。

その他

炭素病、軟腐病、ウイルス病が発生します。

ウィルス病

ウィルス病はアブラムシハダニや使いまわしたハサミから感染しますので、ハサミ類は毎回綺麗に消毒しましょう。消毒はライターやガスバーナーで焼いて行います。

もしも感染した場合は、治療不能なので、株すべてを廃棄し、土は処分、鉢も煮沸消毒してください。

ウィルス病の症状は、葉っぱに黒い斑点が出たり、白い筋が出たり、白い斑点が出ることもあります。ただ、症状が一定ではなく、他の病気の可能性もあるため、対処は遅くなる。
●家庭にある、数年間以上育てたラン類のほとんどがすでにウィルス病に感染していると言われています。
●エビネは1970年代にブームとなったがウィルスが広がったため、愛好家が撤退し、ブームは終わった。現在は無菌栽培によって、感染していない?株が増えているが、感染しやすさは変わらないため、栽培が難しいのは変わらない。市場価値は落ちて、積極的な取引はない。

特徴・由来・伝承

多年草で、他のラン科の植物の多くとは違い、地生……つまり地面に根を張って生育します。花は変異がしやすいために、多種多色があります。
エビネは漢字では「海老根」。エビは根の形から来たと言われています。
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